疑惑と真実

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食堂を出て教室へと向かう途中で… "また亜季を置いてきてしまった…。" と溜め息を吐く。
だけど、武斗から逃げる為には仕方のない事だと諦めるしかない。
それに亜季も武斗のせいだってことは理解してくれるはずだから。
――とにかく武斗は本当にしつこすぎる。

どれだけ突き放しても……どれだけ冷たい言葉を掛けても……ずっとずっと追い掛けてくる。

昔からずっとそうだった。
別に武斗が嫌いだとかそういう訳ではない。
ただ、苦手なだけ。
私には武斗の考えていることが理解できないだけ。

――本当に私のことを心配してるだけなの?
――本当にただ私のことを知りたいだけなの?

そう思ってしまうのだ。
元々武斗の父親は私の父親と幼馴染みみたいなものらしく今でも仕事関係でも交流があったりする。
だから武斗が私の父親から私のことを何か聞いてる可能性だって充分にあり得るのだから。
それに武斗は優しいけれど、その優しさに温かさを感じない。
武斗の優しさには何か裏があるような気がしてなんだか怖かった。
私は上辺(うわべ)だけの優しさなんていらない。
だから私にとって啓人(ひろと)の優しさは心に沁(し)みる何か特別なものを感じた。
啓人(ひろと)は本当に心から私のことを心配してくれているしとても何か裏があるようには感じれない。
――そんな風に脳裏で啓人(ひろと)のことを思考していたら…無性に啓人(ひろと)に会いたくなってしまい私はスカートのポケットからスマホを取り出した。
電話帳を開き啓人(ひろと)の番号を開いた。
そして、迷うこともなく啓人(ひろと)に電話を掛けたのだ。

――プルルル
――プルルル
――プルルル

“……もしもし…“

何度目かのコールで聞こえてきた声は不機嫌そうな…正(まさ)に寝起きだと思われる低音の声だった。
だけど、私は寝起きの啓人(ひろと)に構ってあげられる程の余裕なんてなかった。
とにかく啓人(ひろと)に会いたくてたまらなくて…。

「…啓人(ひろと)…」

そう名前を呼んでいた。

“…ん?麻弥?“

私が力ない声で名前を呼んだのに気付いたのか啓人(ひろと)の私を呼ぶ声は心配を含んだような声質だった。

「啓人(ひろと)……会いたい…」

啓人(ひろと)の心配そうな声にも構わず私はそう言葉を発していた。

“…は?"会いたい"って…麻弥、今学校だろ?“
「…うん。でも今すぐにでも啓人(ひろと)に会いたい…」
“……どうしたんだよ、急に…“

そんなことを言われても…私にだってわからない。
でも、何を考えてるかわからない武斗より啓人(ひろと)の優しさに触れていたいってそう思った。
だけど、啓人(ひろと)にはそんなことは言えるはずもなく…。

「…啓人(ひろと)のこと考えてたの…そしたら会いたくなっちゃって…」

そう告げていた。
まあ啓人(ひろと)のことを考えていたのも事実だから。

“……そうか。わかった。今から向かうよ。“
「え?」

少しの間を置いて聞こえてきた言葉に私は驚愕(きょうがく)して頓狂(とんきょう)な声を出してしまった。

“何、驚いてんだよ。俺に『会いたい』って言ったの麻弥だろ。“
「う、うん。そうだけど…。」
“なんだよ。俺に『会いたい』って言葉は嘘か?“
「嘘じゃない!啓人(ひろと)に会いたい!」

啓人(ひろと)に "会いたいのは嘘か" って聞かれて私は慌てて否定していた。


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