疑惑と真実

「私ね、幼馴染みがいるんだけど……彼はただ私の跡を追い掛けて来るような子だった。…だけど、そのうち…そんな幼馴染みが何を考えているのかわからなくなって…私は離れようとした…。でも相変わらず私を追い掛けて来て…それが今も続いてる。特に最近はやたらと心配されてて……。それはいいんだけど、なんか裏がありそうで…怖くて…。それに幼馴染みの父親は私の父親と仕事関連でも長い付き合いで…もしかしたら父親が関連してるかも…って思うと余計怖くて…今はその彼が信用できないの。…だから色々と不安になって…啓人ひろとに会いたくなって…電話しちゃった…。」

私が一気にそう話したせいか、すぐには啓人ひろとからの返事は何もなかった。
けれど、暫しの沈黙の後に啓人ひろとが口を開いた。

「……なるほどね。その幼馴染みの気持ちもわからなくもないなぁ。…でも俺もそういうのを避けて来た人間だから…麻弥の気持ちはよくわかるよ。…けど、別にその幼馴染みを信用しなくていいと思う。父親と関わりあるなら尚更…な。」

啓人ひろとのそんな言葉が胸の奥に突き刺さるように入ってきて…なんだか啓人ひろとの言葉に暖かい何かを感じた。

「まあまた何かあったら言えよ。俺はいつでも麻弥の味方だから。」
「…うん、ありがとう。」

啓人ひろとの優しさに涙が溢れてしまいそうだった。

――どうして啓人はこんなにも優しくしてくれるのだろう。

そんな言葉が頭の中を駆け巡った。






そして、私の武斗への疑惑はこののちに現実のもの…となるのだった――。


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