疑惑と真実

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――数日後。

相変わらず武斗は私の今の住居先を何度も何度も聞きに来ていた。
そんな武斗のいつもと変わらない様子に呆れつつも不審な所は何一つ感じられなかった。
だから私もいつものように適当にあしらって武斗から逃げていた。

――そして、本日も見つからないように―と逃げて来た場所は屋上だった。
一息ついてから柵の側まで来て…思わず座り込んでしまった。
でも、この屋上こそが私が唯一落ち着く場所である。
そんな毎回毎回学校をサボるわけにはいかないけれど、屋上に来て心を落ち着かせているのだ。

――暫くそうして仰向けになり何も思考せず雲一つない青い空を眺めていると突然屋上の扉が "ギーッ。" と音を奏でながら開いた。
ちょうど死角になる場所にいた私は慌てて身を起こして隠れた。
案の定、屋上に入ってきたのは…武斗だった。
だけど、武斗は私の姿を探すよりもズボンのポケットからスマホを取り出して…どこかに電話を掛け始めたのだった。


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