――武斗がやたらと私に構ってくる理由がわかるかもしれない。
そう思い、武斗の電話に耳を傾けた。
｢………あ、もしもし？お仕事中申し訳ございません。僕です……はい、そうです。佐倉です。｣
相手の声は当然聞こえなかった。
だけど、武斗が敬語を使っている……ってことはもしかすると…？
――そんな考えが
｢……いえ、まだです。何度も聞いてはいるんですけど、全然教えてくれなくて………え？尾行？…そんな…僕にはできません！｣
――は？尾行？
そんな言葉に
やっぱり武斗とあの人は繋がっていたんだ。
｢……僕、麻弥ちゃんに嫌われたくないんです………え？…そ、そんな…………わかりました！やります……はい、はい。わかってます……また何かわかったら連絡しますね……はい。失礼します…。｣
武斗はそんな言葉を最後に電話を切って溜め息を吐くと屋上から出て行った。
｢予想通り…か。｣
武斗が出て行ってすぐ私は思わずそう呟いた。
――因みに "あの人" とは…私の父親のことである。
昔から武斗は私の父親の言いなりだった。
父から命令されたら立場上では必ずその命令を実行に移すのだ。
だから今回も必ず武斗は私を "尾行" するはず。
それにしても "尾行しろ" だなんてあの人もとんでもないことを武斗に命令してくれたもんだ。
てゆうか武斗に尾行なんてされたら
まずは
私はスマホを取り出して