記憶と約束

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その日はいつものように登校して真っ先に向かったのは武斗のいるクラスの教室――。
武斗は昔から早寝早起きで私が登校する一時間前から学校に来ている。

【2-D】と標記されたクラス表札を見つけて私はなんの躊躇ためらいもなく扉を勢い良く開けた。
突然、扉が勢い良く開いたことにDクラスの生徒達の注目の的になるのは当たり前で―それでも私は気にすることもなく武斗の姿を見つけるとそのまま教室の中へと歩を進め、私が突然教室に入って来たことに驚愕きょうがくの様子で固まっている武斗の机の前で足を止めた。

「えっ、ま、麻弥ちゃん?」

いまだに状況を把握仕切れていない様子の武斗は躊躇ちゅうちょしながら私の名前を呼んだけれど、私はそんな武斗の呼び掛けには触れず言葉をつむいだ。

「武斗。」
「え、なに?」
「…話がある。今から私と屋上まで来て。」
「え、なに、話って?」
「いいから。屋上まで来て。」

私の言葉の意味が理解できていないのか―しどろもどろになっている武斗を屋上に来るようにうながして私はきびすを返して―そのまま屋上へとを進めたのだった。
そんな私の後方こうほうを慌てるように武斗はついて来てくれていた。


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