記憶と約束

七瀬社長―麻弥ちゃんの父親から僕の携帯電話に電話がかかってきたのだ。

七瀬社長には "念の為" というカタチで連絡先を教えていたけれど、直接電話がかかってくるなんて今までになく驚愕きょうがくしながらも僕は七瀬社長からの電話に応じた。
そして、七瀬社長から聞かされた内容は……。

"麻弥が家出をした。"

さすがの僕もそれには麻弥ちゃん本人から何も聞かされておらず動揺してしまい頓狂とんきょうな返事しか返せなかったけれど、七瀬社長に僕の動揺なんて電話越しでは伝わるはずもなく七瀬社長からは麻弥ちゃんのことを "探れ" との命令を出されてしまい…僕も家出をした理由を知りたくてその命令に従うことにした。

――最初は何年もできていなかった麻弥ちゃんとの会話に緊張していたけれど、いざ話掛けてみると自分が思っていたよりも平気だった。
でも、麻弥ちゃんの反応は相変わらず冷たくて僕の知りたかった "家出" の理由も知ることはできなかった。

それでも僕はめげずに麻弥ちゃんに "どこに住んでるか" とか "家出" の理由を聞き続けたけれど、麻弥ちゃんは頑なに教えてくれることはなかった。

何も教えてくれない麻弥ちゃんに直接聞いても無理なんだと途方に暮れていた時、再度七瀬社長から電話がかかってきた。

七瀬社長に "麻弥ちゃんに聞いてみましたが、何も教えてくれません" と相談すると七瀬社長からは更なる驚愕きょうがくの命令を受けてしまった。


それは――。

"麻弥を尾行するんだ。"


さすがにそれは無理だと拒否するも七瀬社長から父親の会社のことで脅されそうになり、今度は僕自身の意志も受け入れられないまま無理矢理命令に従うことになってしまった。

――そして、その命令を受けた日の放課後に僕は麻弥ちゃんの尾行を開始してしまったのだった。


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