記憶と約束

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――数日後。


毎日毎日…諦めず麻弥ちゃんを尾行するも "住んでいる場所" はおろか途中で麻弥ちゃんを必ず見失ってしまい自分が尾行なんてそんな上手くできるような人間じゃない証拠だと痛感してしまうだけだった。

それでも麻弥ちゃんを何度見失っても僕は……

"麻弥ちゃんのことが知りたい。"


最初は嫌だったはずの "尾行" も数日のうちにその思いの方が日に日に強くなっていて特には気にならない程になっていた。


――だけど、その数日後にそんな僕の思いは突然打ち砕かれることになるのだった。


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僕は早起きをして朝礼開始の2時間前には登校し教室でHRが始まるまで読書をするのが日課で…それは小学生の時からずっと続けていた。

勿論その日の朝も日課であるそれを教室で実行して朝礼開始の一時間前まで迫っていた時だった。

――突然、勢い良く教室の扉が開かれて驚愕きょうがくしながらそちらに目を向けるとそこには麻弥ちゃんがいて更に驚愕きょうがくした。
麻弥ちゃんは暫しの間教室内を見渡してから僕の姿を見つけるとなんの躊躇ためらいもなく教室の中に入ってきて真っ直ぐに僕の机の側までやって来て口を開いた。

"話があるから屋上に来て。"


そう言われて動揺したけれど、再度麻弥ちゃんから同様の言葉が繰り返されて僕は椅子から立ち上がり麻弥ちゃんの後を追い屋上に向かった。

そして、屋上に着き麻弥ちゃんから "尾行をやめてほしい" という言葉を出されてしまい最初は誤魔化したけれど、麻弥ちゃんには通用しなかったのだ。

何故なら麻弥ちゃんは偶然にも僕が七瀬社長と電話しているのを聞いてしまっていたようで…さすがにそれを聞かれてしまっていたのならもう誤魔化すことはできなかったから。
肯定してから七瀬社長が麻弥ちゃんのことを心配しているということを告げると、麻弥ちゃんは "心配していない。" と言葉を荒らげた。

それを聞いた僕は麻弥ちゃんのことをわかっているつもりでいただけで本当は何もわかっていなかったことに悔しくなった。

麻弥ちゃんが七瀬社長と何があったのかはわからないけれど、もう麻弥ちゃんが家出をした理由を聞けないことにも悲しくなった。

それでも僕は麻弥ちゃんが好きだと思い麻弥ちゃんに告白すると、麻弥ちゃんに "好きな人がいるから" と断られてしまって…麻弥ちゃんの好きな人が誰か聞くと僕の知らない人だとまで言われてしまった。




――それが今でもずっと気になっている。

麻弥ちゃんに "尾行をやめてほしい" と、フラれてしまったあの日からずっと――。





――そして、その麻弥ちゃんの "好きな人" がわかるのはそんな遠くない未来に訪れることになるのだった。


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