「…なんでわかったん?」


彼はそう言うとサングラスを外してから帽子のつばを少しだけ上に上げた。

だけど、私はその姿を見た瞬間固まってしまった。


何故なら目の前にいるのは本当に…。
あの水神 愁みずかみ しゅうだったから。


──こ、これは夢?


「……っておーい!?聞こえてるか?」


いくら自分で気付いて指摘したとはいえまさか本物だなんて──。

そんな馬鹿な話があるわけない。


そう思わずにはいられない程に目の前にいる彼の存在はにわかには信じられない出来事だった。

私は途中から本当に夢でも見ているのではないだろうか。


「夢ちゃうで!」

そんな言葉と同時に私の顔の前で手を叩かれる音がして
思考しながら呆然としていた私は我に返った。


「…え?あ、本当に…ほん、もの?」
「…って、声で気付いたん君やろ!」


やっぱりこの声、この喋り方に──。
関西特有の方言──。

そして、この顔は……。
本物の水神 愁みずかみ しゅうだ。


そう。今、人気絶頂中のイケメン若手俳優の水神 愁みずかみ しゅう

私が高校時代から大好きで大ファンの俳優 水神 愁みずかみ しゅうだった。



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