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見えない気持ち




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火曜日と金曜日、土曜日で──。

いくつか奈美ちゃんとスイーツの試作品を作り、学級委員長にも味見をしてもらって文化祭で出すスイーツは…

紅茶風味のシフォンケーキとオレンジゼリーに決定した。



──そして、その2品を学級委員長に指定された数量を作る為、文化祭の3日前には私と奈美ちゃんはある一軒のマンションにお邪魔していた。


「…みーー!!久しぶりー!!」
「きゃあ!ちょ、り、理緒さん!」

そう、理緒さんのマンションである。

理緒さんの住むマンションは私が爽ちゃんと住んでいるアパートとは違い、本当に立派なマンションで防犯設備的なものも完璧だった。

フロントでは部屋番号を入力してからでないと住民以外は中に入れないシステムになっていてフロントであらかじめ理緒さんに教えてもらっていた部屋番号を入力してからオートロックにもなっている硝子張りの扉を解錠してもらい三階の部屋に来ていた。


そして、部屋のインターホンを押して暫くしてから玄関の扉が開いた瞬間に突然の抱擁ほうようを理緒さんから受けてしまい、吃驚びっくりして思わず嬌声してしまったのだ。


「お、お久しぶりです。理緒さん。」


動揺しながらもそう応えながら思考する。


理緒さんと最後に会った日のことを──。



──数ヶ月前……。突然、何の連絡もなしにアパートにやって来た理緒さん。


あの時は私と爽ちゃんが結婚した経緯を話したのだけど、そもそも突然訪問してきた理緒さんの目的が "旦那と喧嘩をしたから暫く泊めてほしい。" という理由だった。


けれど、そんな理緒さんの願いは叶うこともなく旦那さんのお迎えで理緒さんは帰宅してしまった。


あの時はあまり会話もできなかったけれど、後日──爽ちゃんから "理緒が美亜の連絡先教えろってうるさい。" と告げられ理緒さんに連絡先を教えて以来…ずっとSNSでやり取りをしているだけだった。



「待ってたよー!さあ、入って入って。」


理緒さんにそう促されて私は部屋に上がらせてもらった。



「お邪魔します。」
「みーが私の家に来てくれる日がくるなんて…夢みたーい!」


理緒さんは昔と変わらない様子で私を歓迎してくれた。


「そういえば、みーの友達は?」


唐突に理緒さんからそう聞かれて昨夜の奈美ちゃんとのSNSのやり取りを思い出した。

奈美ちゃんは完成したスイーツを詰めるための容器を指定量分購入してから理緒さんのマンションに向かうことになったため、私は先に行って準備をしておくことになったのだ。


「…あ、奈美ちゃんは後で来ますよ。指定量分の容器を購入してきてくれるので。」
「…そうなんだ。確かに容器は必要だもんね。…というか、友達って…奈美ちゃんなの?」
「そうですよ。奈美ちゃんです。覚えてます?」
「もちろん覚えてるよ!昔から仲良かった奈美ちゃんだよね?」
「はい、その奈美ちゃんです!よかった…覚えてくれていて…奈美ちゃんも喜びます!」
「まさか、奈美ちゃんだとは思ってなかったわ。本当に仲良しなのね。」
「はい!奈美ちゃんは親友です!」
「そう…親友がいるのはいいことよ。…そんなことより、準備始めておこうか?」
「あ、はい!」


そんな会話の後に、私は材料の入った買い物袋を持って理緒さんとスイーツの下準備を始めたのだった。


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