01
見えない気持ち
一ちなみに文化祭では私達のクラスは喫茶店をすることに決まっていて、今放課後はその準備で大忙しだったりする。
しかも男子は執事、女子はメイドの格好をすることになっていた。
「…美亜は委員長にスイーツ作り頼まれてるんだよね?何にするか決まったの?」
「…まだ。簡易な物でいいって言われたけど、それはそれで難しいんだよね…。」
「確かにね。本当に委員長も無茶なこと言うよねぇ。」
当日は私もメイドの格好で来店してくれたお客さんには…飲食、飲み物、スイーツをお出しすることになっているけれど、当日までの間は "簡易スイーツを2品ほど考えて作ってほしい" とクラスの学級委員にお願いされてしまった。
飲食はサンドイッチとカレーライス。
飲み物は紅茶とコーヒー。
後は簡易スイーツ2品。
メニューを決めたのも勿論学級委員でスイーツに関してはクラスに作れるクラスメイトが私以外にいなくて私が作ることになってしまった。
「…まあ指定の量だと1番簡易的なのは…あるにはあるけどね。委員長には何作るかは任すって言われてるし。」
「…私も美亜ほどじゃないけど、手伝うからね!」
「うん、ありがとう。」
爽ちゃんが出張から帰宅するまでに家のこともやらなきゃいけない中でのスイーツ作りは大変だった。
「…でもさ、指定の量的にも2人でするには厳しくない?」
「…あ、それなら強力な助っ人にお願いしてる。」
「え?誰?」
「理緒さん。」
「え、理緒さんって…爽介さんのお姉さん?」
名前だけでそこまでわかってしまった奈美ちゃんは "流石だなぁ。" と妙に感心してしまった。
奈美ちゃんは理緒さんとももちろん面識がある。
「そう。私…知らなかったんだけど、理緒さん結婚しててね。私が引越しする前から
「え?理緒さん結婚してるの?」
「うん!
「…そうなんだ。じゃあ、主婦の理緒さんが手伝ってくれるなら心強いね!」
「でしょ?!ちなみに場所も理緒さんがマンションに来ていいって。まあ私のアパートじゃ狭いしね。」
「…そんなに狭いの?」
奈美ちゃんにそう問い質されて気付いてしまった。
爽ちゃんが高校生の時以来、奈美ちゃんは爽ちゃんに会っていなかったんだ。
私が "爽ちゃん実家離れるんだって。" と、話してから数年はずっと私の不満や淋しさ話を聞いて慰めてくれていただけだったから。
「…うん。爽ちゃんが大学時代に借りたアパートで独り暮らしには最適みたいな感じだって。」
「まあ独り暮らしならそんなに広くなくていいもんね。」
「そう。だからね、この数を作ろうと思ったら…。ちょっとスペースが足りないの。」
「なるほどね。それで理緒さんに頼んだわけね。」
「そういうこと。」
理緒さんに文化祭のこととスイーツ作りの話をしたら快く了承してくれたのだ。
ただ指定された数のスイーツ作りを開始するのは文化祭の前日だからまだ少し日にちはあるのだけど、手始めに試作品のことも考えていた。
「…とりあえずいくつか試作品は作りたいんだよねー。」
「…なら一緒に買い物行く?」
「ついてきてくれる?」
「もちろん!バイトない日に限るけど…。」
「ありがとう。本当に助かるよ。」
その後、奈美ちゃんのバイトがない曜日を教えてもらって…試作品を作る曜日は…。
火曜日と金曜日と土曜日に決まった。
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