幸せの先と未来
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【Side:廉】
──季節は夏から秋に変わろうとしている頃。
本格的に始まる就職活動……。
数百万─いや、数千万とある就職先からいくつかを絞り出して面接の日程等を決めていた。
ただ、本命は "○○コーポレーション"─陽菜の勤務する会社を含めて…いくつかの会社の面接を受けるのはアクマでも念のためである。
そして、いくつかの会社の面接日程を見ながら予定を決めているとある重大な事に気付いた。
つい最近までは時間も余裕で陽菜の迎えも行けていたのに…それが暫くの間は時間がつくれそうになく陽菜が退社する時間まで見事に面接時間が埋まってしまった。
まあ大体は夕方までには終わるけれど、場所によっては1,2時間掛かる場所もあって陽菜の退社時間まで確実に間に合わない。
俺は慌ててスマホを取り出して滅多にしないSNSのメッセージを陽菜宛に送信した──直後のことだった。
「廉!」
誰かが俺を呼ぶ声がして声のした方に目を向けるとそこにいたのは雅人だった。
「…雅人…なんだよ。」
「面接日程決めてたのか?」
「あぁ。ついさっき決め終わったけどな。」
「なら今時間大丈夫だよな?」
「まあな。」
雅人の言葉にまた嫌な予感がした。
こんなクソ忙しい時に合コンなんて誘って来ないだろうとは思っているが、雅人のことだから本当に嫌な予感しかしない。
「…これ、さっき "藤堂さん宛に。" って渡された。」
そう言って雅人が俺の目の前に差し出したのは手紙だった。
もちろん女の子からだろうと予想はつく。
大学内での女子からの手紙や突然の呼び出しは1日に数え切れないくらいにあった。
もちろん俺がこの大学に入学した当初から─。
まあ入学した当初は彼女とか作る気もなかったから告白されても断っていたんだけど。
「…何勝手に受け取ってきてんだよ。」
陽菜と付き合い始めてからは告白はもちろん手紙も本気で受け取っていなかったのに──いつからか俺に直接渡しても "受け取ってくれない。" と思ったのか雅人に渡すようになっていた。
俺が今1番仲良くしている友人が雅人だから雅人なら確実に俺の元へ届けてくれるとわかっているのだろう。
「可愛い子から受け取っても結局みんな "藤堂さんに渡してください。" だもんな〜!俺への手紙なんて一度もきたことねぇよ。なんでいつも廉ばっかり…!」
「知らねぇよ。」
「でも、その差出人…後輩っぽかったぞ。一応読むくらいはしてやれよな!」
雅人はそれだけ言うと、用があるとかで颯爽と帰って行った。
この手紙のためだけに雅人は来ただけだったみたいでなぜ俺は雅人と仲が良いのかわからなくなってしまった。
性格は正反対なんだけどな。
まあ雅人と一緒にいて楽しくないってことが一度もないからかもしれないけど。
とりあえず受け取った手紙を仕方なく封を開けて読むことにした。
すると、そこに書かれていたのは…。
【テニスコート入口のフェンス前で先輩が来るまで待っています。】
そんな内容だった。
正直手紙で呼び出されるのが1番面倒だったりする。
どうせ告白以外に俺を呼び出す理由なんてないはずなのに何故わざわざ手紙を書いてまで呼び出す必要があるのか理解できない。
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