苦手なもの
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彼は入学当初から "かっこいい。" と、評判の人だった。
だけど、男の人に触ることのできない私にはどうでもよかった。
なのに──。
「…あれ?
私が入ってるテニスサークルに彼は入部してきた。
「…まだ誰も来てないよ。」
「…へぇ〜。じゃあ今は…俺と神楽先輩の二人だけなんですね〜。」
彼──
ただでさえ男の人に触れられない私になんて何かを求めても意味ないのに…。
「…そういえば…神楽先輩って男の人に触れられないって本当ですか?」
突然の藤堂君の言葉に私は目を見開く。
だけど、事実なだけに──。
「……本当よ。子供の頃から男の人に触られると
私がそう言った瞬間──。
藤堂君はいつの間にか私の目の前にいて私の腕を掴んでいた。
突然のことに驚愕して蕁麻疹が出て嫌われるのを恐れ離れようとした。
だけど──。
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