君に夢中なんです。
「きょうってね、チョコの日なんだって!…それでね、きのうね、ママとね、いっしょうけんめいつくったの!だかられおくんにあげる!」
「…あ、ありがとう…」
女の子に満面の笑顔でそう言われ断るに断れなくてそれを受け取ってしまった。
そして、俺がそれを受け取った直後にタイミング良く女の子の母親が迎えに来て…。
女の子は母親に駆け寄ってから再度俺の方に振り向き、俺に手を振った
そして、そんな一部始終を眺めていたのかある女の子が話し掛けてきた。
「…なぁ、なんでことわらないんだ?」
それはあまりにも突然で俺は驚愕しながら何も返答できず、その声のした方に振り向くとそこにいたのは……。
今まで一度も会話をしたことがない弥生だった。
「…べつに。ことわるりゆうもないから。それに…」
「…それに…なんだよ?」
「おれあまいものにがてなんだ。だからこれはきょうだいにあげる。」
「…ふーん」
弥生との初めて会話がたったそんなつまらなくてどうでもいい報告のような内容だけだった。
弥生はその頃から男勝りで言葉遣いも全然女の子らしくなかった。
だけど、何故か俺にとってその弥生との会話が物凄く新鮮に思えて…
幼稚園児ながらに俺を外見でしか見ていない女の子とは違う何かを感じたんだ──。