味方は元恋敵 [2/6]



──数分後。


学校の門前に着きもうそろそろ朝礼が始まるという時間帯にもかかわらず騒がしい校庭を抜ける。


もう目の前は昇降口というところまで来た瞬間だった。

私の行く手を阻むかのように現れた三つの人影。


それに驚愕きょうがくし私は昇降口に向かう足を止めざる得なかった。


そして、その三つの人影にゆっくりと視線を上げるとそこにいたのは…


以前、響ちゃんに喧嘩を仕掛けてきて…響ちゃんにボロ負けしていた先輩の男子生徒三人組だった。


突然の先輩達の登場に私は何が何だかわからなくて足がすくんでしまった。



だけど、そんな私に気付いているはずもない先輩達の一人が私に声を掛けてきた。


「…お前…桐谷きりやの女だよな?」


そんな先輩の言葉に私はある重要ともいえることを思い出した。





そう、それは……。

私が、"桐谷 響きりや きょうの彼女" であること。





響ちゃんと恋人同士になって暫くしてからだった。




響ちゃんはもちろんのこと祐也君、玲美れみちゃんに言われていたことがあった。



"一人で行動しないこと"



登下校はもちろん、休み時間……その他……諸々もろもろ

全ての行動には一人は危険だと──。


なぜなら、"桐谷 響きりや きょうの彼女" だと知られてしまったら………。

私に危険が及ぶからである。



そう、美都みさとさんとのあの出来事とは比べ物にならないくらいの "最も危険" なことが…。














──それをみんなに言われていたはずなのに……。

この時の私はすっかりと忘れていたのだ。




いや、寧ろまた深く考えていなかったのかもしれない。

あの時のように───。


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