第一章 (5/5)



ユウはそのお蔵の前で来ると、静かに口を開く。


「智也。」



そう名前を呼ぶと、どこからか "スゥー" とユウと同い年くらいの男の子が現れた。




「ユウ!遅かったね。」




智也と呼ばれたその男の子はフワフワとユウの周囲を舞っていた。





「ごめんね、今日はいつもより智也と居れるって言ったのに…」
「いいよ、ユウ。ユウにも色んな事情があるんだから。ところで今日は何の話してくれる?」
「ん。今日は何の話しようか?」


ユウはそう言いながら妖笑ようしょうを浮かべる。


そして、少し何かを考えていると、先に口を開いたのは智也だった。



「んじゃ、今日遅れた理由!」
「そんな話でいいの?」
「うん。だってボク、ユウのこと好きだもん!」
「いや、理由になってないから!」
「ええー。好きな人のことならなんでも知りたいじゃん!」
「意味わかんねぇ。」
「ユウ、男っぽい!」
「どうせ私は素直じゃないよ!」




ユウは智也の "男っぽい" という言葉に少し不機嫌になる。





「ユウ、機嫌直して?」




不機嫌になってしまったユウに気付いた智也は上目遣いでそう言った。



そんな智也にユウは観念したように口を開く。




「わかったよ。あ、今日あんたのこと聞かれた!」
「え?」
「写真見せられたんだけど、智也は写らないはずだよね?」
「うん、ボクここから動かないし誰にも見えないし。」
「どうしたらいいんだろ。」
「誰に聞かれたの?」
「私が通っている学校の生徒会長。私、あの人どこかで見たことある!」
「そのカイチョー。フツーの人だったらいいんだけどな。面倒事が嫌いだしユウは。で、どこで会ったことがあるの?」
「わからない。」



頭を抱えながら考えるが、思い出せなかった。





──それからいろいろな話を智也とした。



夕方になり、智也が突然とんでもないこと言い放った。



「明日、ユウの通ってる学校に行く!」
「お前…」
「カイチョーに会いたい!」
「普通の人じゃなかったらどうするの?浄化されるよ?」
「だいじょーぶだって!だってボク…」



智也がそこまで言った後で暫くの間が開き、そのすぐ後には...



「「"最強" だもん」」



ユウと智也の声が重なった。



「ボクのセリフー!」
「いつも言うからね…。その前に何で学校に来るの?」
「だってぇー。」
「……もう勝手にしろ!だけど、私の周りをウロウロするなよ!」
「わぁーい!やったぁ!ユウと一緒にいられる!」
「喜ぶところじゃないだろ!私は一応止めたからな!」




ユウの言葉を聞こえているのかいないのかキャッキャッと小さな男の子の様にはしゃぐ智也。




(全く人の話を聞いてないんだから。)




そんな智也を見ながらユウは呆れたようにそう心の中で呟いた。





「あ、ユウ!」


先ほどまではしゃいでいた智也は突然ユウのほうに向き直り──。


「なに?」
「ボクたち最強だよね?だってユウとボクは "二つで一つ" だもんね?」




『もと…二つの……一つ……』



智也が何気なく言ったそんな言葉が……

ユウを苦しませた。



だけど、その智也の言葉には何も答えず、ユウは余に立ち上がった。



突然、立ち上がったユウに智也は不思議そうにしながらユウの名前を呼んだ。


「ユウ!」
「もう行く!」



ユウはそれだけを言い放つと、智也の方には振り返らず走って帰路に着いたのだった。


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【- 5 -】

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