「よかった…。屋上来ねぇから心配した。」
律先輩はそう
「…律先輩…。怒ってないんですか?」
「…怒ってねぇよ。ただ、"佐々木といる" って聞いたから心配になっただけ。」
「…そうですか…。先輩…。心配掛けてごめんなさい!」
「…
「律先輩…。」
「…
「あ、ついいつもの癖で…。」
律先輩にそう指摘されて気付いた。
頑張って── "敬語なし" と "先輩なし" を決意したはずなのに…。
またいつもの癖で "敬語" も "先輩" も
「…あ、あの〜!…俺もいること忘れてませんか?」
突然─背後から聞こえたその声に私は佐々木君がいたことを思い出して慌てて律先輩から離れようとしたけれど、律先輩が私を抱き締める腕は強くて離れることはできなかった。
「…佐々木…。」
「…桜木先輩は凄くいいタイミングで俺の邪魔をしてくれますね!」
「…そうか?それは悪いことをしたなぁ…。」
「本気で悪いと思ってないですよね?…まあいいです。これから時間はたっぷりありますから!」
佐々木君はそれだけの言葉を口に出すと校舎の方へと歩き出して行った。
結局、私は佐々木君の話も先程の発言も理解できないままだった。
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