嵐の予感と想い ( 14/ 19 )


「……沙結さゆ。」
「は、はい?!」


少し考え事をしていた私は律先輩に突然呼ばれて声が裏返ってしまった。


「…気を付けろよ。」
「へっ?」


今度は律先輩の "気を付けろ。" という言葉に理解できなくて再度間抜けな声を出してしまった。


「…佐々木には気を付けろ。まあアイツじゃなくても…。俺以外の男には気を付けろ。」


律先輩はそれだけを放つと、私を抱き締めていた腕を離して─私の手を取るとそのまま校舎の方へと歩き出した。



私は律先輩の言葉に驚いてしまって返事をすることはできなかったけれど、律先輩がヤキモチを妬いてくれたのがたまらなく嬉しかった。




























───だけど、この時の私はまだ知らなかった。

律先輩に迫りくる影…。


──そして、それが私の不安を増幅させる…。

原因になるなんて───。

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