「まあ律が人の名前覚えるの苦手なのは知ってるけどさ〜。それにしてもあんな美人の名前知らないとかありえねぇわ!!」
てゆうか先程から秋斗はそればっかりだ。
俺にはあの "佐原" って女がそんなに美人なのかが…全く理解できなかったから。
秋斗とはそういう女に関してのタイプというのは合わないのだと思う。
それに俺は
どこまでが美人でどこまでが美人でないのか─。
そういう感覚もイマイチよくわからなかった。
「……興味ねぇよ。」
「え〜〜!
もはや勿体ないの意味さえわからなかったけれど、そこは敢えて突っ込まないことにした。
「……お前、矢野がいるじゃねぇか。」
「は?麻子は関係ねぇよ。佐原は確かに美人だけど、タイプってわけじゃねぇもん。」
「……あっそ。」
俺は秋斗の言葉にやはり呆れるしかなかった。
ちなみに "矢野" というのは…。
バスケ部のマネージャーであり
秋斗の幼馴染みで "彼女" だ。
矢野は秋斗の彼女だから関わることも多くて…。
俺が
そして、俺は秋斗とそんな会話をしながらも制服からユニフォームに着替えて─。
着替え終わった直後に鞄と制服を自分のロッカーに収納しロッカーの扉を閉めてから─。
「……沙結、行くぞ。」
今まで俺達の会話を黙って聞いていた
「え、あ、は、はい!」
「あ、ちょっと!俺を置いてくなよ〜!!」
俺と
案の定、秋斗もそんな言葉と共に慌てて椅子から立ち上がったけれど、勿論秋斗が来るまで待機してやる程優しくはない。
だから秋斗は無視して…。
部室を出る頃にはもう俺のすぐ傍に来ていた