恋敵は先輩 ( 1/ 12 )


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「…あ、あの…麻子先輩!」


私は数時間前からずっと気になっていたことを思いきって麻子先輩に聞いてみることにした。


「ん?どうしたの?」
「…あの、佐原先輩って…ご存知ですか?」


そう。それは部活が始まる少し前に畑山はたやま先輩と律先輩の会話に出ていた "佐原" という名前の先輩生徒の女子のことだった。


律先輩は "興味ない" って言っていたけれど
やっぱり気にならずにはいられなかった。


「え?佐原?…あ〜〜!理恵ね…佐原理恵!勿論知ってるよ。理恵が…どうかした?」
「…あ、あの…その佐原先輩…。凄く美人だ…って畑山はたやま先輩が言ってたんですけど…。それに律先輩…会話したらしくて…。」
「…あ〜!なるほどね。まあ確かに理恵は美人の部類になるね。それに1年の時から桜木に好意を寄せてるみたいよ。」
「…そう、なんですか…。」


麻子先輩のそんな言葉を聞き何だか私は自信を失ってしまった。

私は律先輩の彼女ではあるけれど、特別美人な訳でも可愛い訳でもないから。


だから私なんかよりも遥かに美人だという先輩が律先輩に好意を寄せているだなんて…。


そんなのますます自信が薄れていく…。
─に決まっている。


「…けど、私の知る限り…。桜木は理恵に冷たく対応してたよ。」
「…え?」


自信を喪失そうしつし掛けている私とは裏腹に─次に発せられた麻子先輩のそんな言葉に私は驚愕きょうがくして間抜けな声が出てしまった。


「桜木が女の子に優しいのなんて…。沙結さゆ以外に私は見たことないなぁ…。だから沙結さゆは桜木を信じてなよ!…桜木は本当に沙結さゆ以外なんて見てないんだからね!」
「…あ、はい。ありがとうございます!」


麻子先輩はそう言ってなぐさめてくれたけれど
私の不安はつのるばっかりだった。

もちろん律先輩のことを信用していない訳じゃないけれど、律先輩は本当に本当にモテる人だから不安でいっぱいなんだ。



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