恋敵は先輩 ( 4/ 12 )


「…どうして…。どうしてよ…。私にはいつも冷たいのに…。あなたなんかと付き合ってるのか…。納得できないわ!あなたなんかより私の方が桜木君にはお似合いなのに…!」


佐原先輩はそう言うと、私をするどい眼差しで凝視ぎょうしして来たのだった。


それを見た私は麻子先輩の言葉を思い出して…。

佐原先輩のことがますます "怖い!" と、感じ始めてしまっていた。


──確かに私は律先輩とは不釣り合いだと思う。

でも、律先輩は他の誰でもない私の告白に了承してくれた。


「…私、なんかが…律先輩と不釣り合いなのはわかってます!…だけど、律先輩はこんな私でもいいって言ってくれました。だから…。」
「だからなによ?…私は別にあなたの気持ちなんて聞いてないわ!…私が言いたいのは──。」
「やめろっ!」


突然、佐原先輩の言葉は遮られて聞こえてきたのは低い男の声だった。


「…律、先輩?」


聞き覚えのあるその声に私はそちらを見据みすえると…。
案の定、そこにいたのは律先輩でいつも私に向けてくれる優しい眼差し─ではなくするどい眼差しで佐原先輩を凝視ぎょうししていた。



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