恋敵は先輩 ( 9/ 12 )


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──昼休み。


私はいつものように律先輩との "約束の場所" に向かう途中で──突然、佐原先輩に声を掛けられて中庭に連れて来られてしまった。



立川 沙結たちかわ さゆさん!私の "忠告" 受け取ってくれたかしら?」


そう言われて一瞬なんのことか理解できなかったけれど、すぐにそれは理解できた。


「…やっぱり佐原先輩だったんですね。私の上履きを隠したりしたのは…!」
「そうよ。全部私がやったことよ。」
「どうして…そんなこと…。」


私は佐原先輩にねたまれるようなことをした覚えなんてない。

だから佐原先輩のした事に納得できなかった。


「そんなの決まってるじゃない!? …あなたが…邪魔なのよ!」


佐原先輩はそう言うとまたあのするど眼差まなざしで私を凝視ぎょうしして来たのだった。


「…私はあなたが入学して来る前から…ずっと桜木君が好きだったのよ!…だけど、桜木君は私のことなんて…見向きもしてくれなかった…。でも、それは…私にだけじゃないって思ってた!…なのに…なのに…! あなたが入学して来て…桜木君はあなたの事ばかりを目で追うようになった!」


佐原先輩のその言葉に私は驚きを隠せなかった。


──律先輩が…私を目で追うようになった?


私はそんな律先輩の "目で追うようになった。" という視線には全く気付いていなくて…。
それも律先輩本人からは聞かされていない話だったから…。
初めて知る話だった。



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