初めての恋人 ( 4/ 9 )


練習試合が終わった後は軽いミーティングが行われ解散となった。

だけど、マネージャーの仕事はまだ山程あって──。
私はバスケットボールが入ってたかごと道具を体育館倉庫に片付けてから麻子あさこ先輩の元へと駆け寄った。



「…麻子あさこ先輩!片付け終わりましたよ!」
「ありがとう!倉庫の鍵も閉めてくれたのよね?」
「はい。閉めました!」


私はそう返事をすると、麻子あさこ先輩に体育館倉庫の鍵を渡した。


「ありがとう!じゃあ沙結さゆはもう帰っていいよ!」
「…え?」

麻子あさこ先輩の言葉に私は頓狂とんきょうな返事をしてしまった。


「あまり暗くなるといけないから先に帰りな!」
「で、でも……。」
「私のことは気にしなくていいから!秋斗も待っててくれてると思うし。」
「…そうですか……ではお言葉に甘えて…。お先に失礼いたします!」
「はい、お疲れー!」

麻子あさこ先輩のその言葉に軽く頭を下げて私は体育館を後にした。


ちなみに麻子あさこ先輩から出た名前── "秋斗あきと" とは……。

バスケ部のキャプテン 畑山 秋斗はたやま あきと先輩でルックスも
律先輩と並ぶくらいに容姿端麗でいつも明るくて優しい先輩である。

そんな畑山はたやま先輩と麻子あさこ先輩は幼馴染みで恋人同士。

麻子あさこ先輩も凄く美人さんだから…正に "美男美女カップル" といったところだろうか。


そんな2人は私の憧れの存在みたいなものなんだ。

何故なら律先輩はもちろん素敵だけど、私は美人でも何でもないから…。

だからこんな私が律先輩と付き合ってていいのかなって思ってしまう。




──暫くして部室前に着くと、扉のすぐ側で腕組みをして壁に背中を預けて立っている律先輩の姿が視界に入った。


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