恋敵は先輩 ( 11/ 12 )


「嫌だッ…!嫌ッ!!来ないで……!助けて……!
先輩……!助けて……!律先輩ッ……!
律、くん……律く〜〜ん!!」


私が必死に必死にそう叫んだ直後だった。

沙結さゆッ!!!」

──バキッ。

──ドカッ。

──ドスッ。


そんなするどい音がしてその数秒後には──私の身体は優しく包み込まれていた。


「…り、つくん…?」
沙結さゆ!!大丈夫か?!」


私を優しく抱き締めてくれていたのは…。

間違いなく律先輩でそれに安堵あんどした私は涙を流して律先輩の胸に顔を埋めて泣き叫んだ。


「…り、つくん…。律、くん!…こわ、怖かった…怖かったよ〜!!」
「間に合ってよかった!もう大丈夫だからな!」


律先輩はそう言うと私を更に強く抱き締めてくれた。

だけど──。

「……おい、佐原!」


律先輩は私を抱きしめながらいつもより低音の声で佐原先輩に話掛けた。


「お前、沙結さゆに何してくれてんだよ!!」
「さ、桜木君!…わ、私はただ…。」
「うるせぇよ!沙結さゆに手出した以上女だからって容赦ようしゃしねぇぞ!」


律先輩は佐原先輩に怒っているのに…。
なんだかそれが見慣れないせいか─私まで怖く感じてしまった。




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