恋敵は先輩 ( 12/ 12 )


「…ご、ごめんなさい!でも私は桜木君が好きなのよ!…だからだから…。立川たちかわさんに桜木君を取られたみたいで…。悔しくて…。」
「だからって…。沙結さゆをこんな目に合わせるのは間違ってるだろ!俺が好きだって言うなら…沙結さゆに当たるんじゃなくて最初から俺に言えばいいんじゃねぇのかよ!?」
「ご、ごめんなさい!!」
「それはまあともかく…。俺は沙結さゆのことが本気で好きなんだよ。だから悪いけど、佐原の気持ちには答えてやれねぇ。…それから今度、沙結さゆに何かしてみろ?次は本当に許さねぇからな!」
「…わかった。本当にごめんなさい!」


佐原先輩はそれだけ言うと数人の男子生徒を起こして校舎の方へと走って行った。

──そして、中庭は私と律先輩の2人だけになる。



沙結さゆ…。」
「律君…。助けてくれてありがとうございます!」
「ばーか!当たり前だろ!何があっても沙結さゆは俺が守るって言っただろ?」
「は、はい!」



そんな律先輩の言葉が嬉しくて…。

本当に本当に私を守ってくれたことが嬉しくて…。


律先輩の傍を絶対に離れたくない。



律先輩とずっとずっと一緒にいたい。



──律先輩に抱きしめられながらそんなことを思った。








だけど、それはまた新たな刺客に…。

私の不安はまた増幅ぞうふくすることに…。

この時はまだ気付いていなかった──。




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