君の嫉妬と優しさ ( 7/ 20 )


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──土曜日。合宿1日目。



学校に集合してバスで少し離れた山里へと向かった。


バスの中では特に席は決まっていなくて私は律君と隣同士で座っていたのだけれど、佐々木君が後ろの席に座っていたので…。

佐々木君が身を乗り出して私に話掛けたり、お菓子をくれたりしてきたものだから律君が不機嫌になって大変だった。




暫くして目的地に着くとそれぞれ泊まるバルコニーに荷物を運び、早速練習が始まった。

因みに私は麻子先輩と一緒のバルコニーだ。

そして、今は麻子先輩と夕飯の買い出しやらで大忙しだった。


どうやら畑山はたやま先輩の提案で夕飯も自分達で作ろうって話らしい。

まあ自分達で──っていっても作るのは私と麻子先輩なのだけど。


「合宿といえば…!やっぱりカレーよね!」
「そうですね!でも明日はどうするんですか?」
「明日の夕飯なんて明日考えればいいのよ!それか皆が食べたい物のアンケートをとるかだね。それはそうと沙結さゆは料理したことあるの?」
「はい。一応、少しくらいはできますよ。」
「そう。なら問題ないね。それに桜木も沙結さゆの手料理に喜ぶわよ!」


麻子先輩はそんなことを言うと妖笑しながら私を見据えてきた。

だけど、麻子先輩の言葉にふと思い出した。


律君に私が作った料理を食べてもらえるなんて初めてのことだった。

そう思うとなんだかワクワクしてきた。



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