君の嫉妬と優しさ ( 9/ 20 )


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──数時間後。


麻子先輩と作ったカレーが出来上がり、部員みんなで囲みながら夕食を食べた。


そんな夕食時でも相変わらず佐々木君と律君の抗争はあって──。
私はそれを黙って見ているしかなかった。

まあ一方的に突っ掛かっているのは佐々木君の方なのだけれど。


「…沙結さゆ。」
「はい?」


麻子先輩とみんなが食べ終わった食器を片付けていると突然麻子先輩に話し掛けられた。


「…佐々木…。大変ねぇ。」


麻子先輩はその単語だけ発したけれど、私にはすぐ理解できた。


「…あ、気付いてたんですか?最近、ずっと律君にあんな感じで…。同じクラスなので教室でもよく話し掛けられるんです。」


私にはどうしてなのか全く理解できなくて佐々木君に話し掛けられても適当にあしらうことしかできない。


「…桜木、冷静沈着なのに佐々木も本当によく頑張るわね!」
「え?それって…。どういう意味ですか?」


麻子先輩の言葉の意味が理解できなくて思わずそう聞き返した。



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