初めての恋人 ( 7/ 9 )


「麻子(あさこ)!」

体育館に着いた俺は後片付けをしている麻子(あさこ)の側まで革靴を脱いでから駆け寄った。

「秋斗(あきと)…。」
「まだ帰れねぇの?」
「ううん、もう終わる。」
「てかお前さ。いつも沙結(さゆ)ちゃん早めに帰らして1人で後片付けしてるよな。」
「仕方ないでしょ。沙結(さゆ)はまだマネージャー歴も浅いしあまり遅くまで残すのは可哀相じゃない。」
「お前…沙結(さゆ)ちゃんに対して妙に優しすぎね?」

俺がそんな質問をすると麻子(あさこ)は一瞬驚愕(きょうがく)の表情をしたけれど、すぐに口を開いた。


「沙結(さゆ)は可愛いじゃない。あの子見てると…なんか、厳しくできないのよね。」
「あぁ、それは一理(いちり)あるわ!」


俺は麻子(あさこ)の─ "沙結(さゆ)ちゃんには厳しくできない。" という言葉に妙に納得してしまった。

だけど、納得してしまうくらい沙結(さゆ)ちゃんは本当に可愛いと俺も思う。

何故なら、沙結(さゆ)ちゃんは…なんか正(まさ)に "守ってやりたくなるタイプの女の子" って感じがするんだ──。


「…あっ!そういえばさ、まだ律が帰ってなくて…部室前に無言で突っ立ってて吃驚(びっくり)したけど、理由問い質(ただ)したら…なんか "待ってる。" とか言うから "誰" か聞いたらさ〜。」
「沙結(さゆ)でしょ。」
「そう沙結(さゆ)ちゃん!…ってなんでわかったんだよ!」
「2人見てたらすぐにわかったよ。今日の練習試合中…沙結(さゆ)はずっと桜木見てたし。桜木もなんの躊躇(ためら)いもなく休憩の時も終わった後も沙結(さゆ)の隣に座ってたからね。」
「よく見てんな!」
「女は人の "恋路" には敏感よ!」
「女ってすげぇのな!」


俺は思わずそんなことを呟いていた。

それと同時に律と沙結(さゆ)ちゃんのこれからが少しばかり気になっていた。

特に律は "超" がつくくらいの冷静な奴だから…
好きな女の前だとどんな風になるのかが本当に楽しみだった───。



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