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私は早急にジャージから制服に着替え、身支度を整えてから部室の扉を開けて外に出た。
「…律先輩!お待たせしました!」
「…おう。」
律先輩はそう短く返事をしてすぐに
校庭…校門を抜け、暗い夜道を彼氏と歩くのは初めてでどんな会話をしたらいいのかわからなかった。
律先輩は相変わらず無口だし私は緊張しすぎて頭の中は空っぽ状態だったから。
「…
「…は、はい!」
会話が見つからず、"どうしよう。" と悶々と思考していた時に突然、律先輩に名前を呼ばれて焦った私は声が裏返ってしまった。
だけど、律先輩はそんな私の動揺には気付いているのか気付いていないのか…いつもの冷静さで気にすることなく言葉を続けた。
「家どこ。」
「…あっ!も、もうちょっと先にある商店街を抜けた道なりです!」
「…そっか。」
私が家の方向を説明すると律先輩は短く返事をしてくれたけれど、それからはまた何も喋らなくなってしまった。
そして、またお互い何も会話をすることのないまま長い沈黙が私の家の前に着くまで続くことになるのだった。