「…あ!家ここです!」
結局本当に何も会話がないまま私の家の前に到着してしまった。
「…じゃあな。」
「はい!送ってくださってありがとうございました!」
「…いいよ……。これからは登下校も一緒な。」
「え?」
律先輩の突然の言葉に
「…とりあえず部活終わりは待ってるから。」
「は、はい!」
「…また明日な。」
律先輩はそう一言だけ発すると、先程来た道へと引き返して行った。
そんな律先輩の背中を
わざわざ逆方向の私の家まで送ってくれたのだ。
普段はクールで冷たい印象だけど、律先輩の優しさが伝わってきて…嬉しくて…つい顔が
──あの律先輩の優しさはやっぱり彼女だけの特権だって思っていいんだよね?
──私は律先輩の彼女なんだって自信持っていいんだよね?
律先輩の優しさを身に染みてか─私はちょっぴりだけれど、自信がついたような…そんな気がしていた。