オネーサンに会うのは今日で2回目。初めて彼女を見た時、俺は生まれて初めて一目惚れを信じた。クラスの女子が幸村部長に一目惚れした!なんて騒いでるのを馬鹿げてると思ってたけど、今だったらアイツらの言ってることがわかる。(でも幸村部長は外ヅラこそ優しくてかっこいいけど、中身はまじでこえーからやっぱり惚れないほうがいいよな。)
2ヵ月前にハンカチを拾ってあげたことが全ての始まり。これを逃したら絶対にもう会えないと思ったら体が勝手に動いていた。いつもの俺だったら考えられないけど、こんな素敵なオネーサンに連絡先を聞くなんて!
デートじゃなくてただ遊ぶだけだよ、とオネーサンは言うがこれは絶対にデートだと俺は思ってる。年齢がちょっと上の彼女に呆れられないように俺なりにプランを立てたつもり!
待ち合わせは午前11時時に横浜。部活の練習も遅刻してばかりの俺でも今日だけは絶対に遅れるわけにはいかない。朝だって6時には目が覚めた。ランニングなんてしてみたら姉貴に気味悪がられたけど、きっと素敵な日になるこの朝に落ち着いてなんかいられなかった。オネーサンはこんな時どんな気持ちになるのかな。
約束の時間まであと5分。相変わらず人がウジャウジャで見つけられるかどうか心配していた。
あの人かな…違う。
あの人は…似てもない。
彼女に似たロングヘアの人が目に入るたび、俺の緊張ゲージは上がり続ける。
やばい、どうしよう。なんだか現実と夢の狭間にいるような、不思議な気持ちだ。今日、会ったらまずなんて言うんだっけ?どこに行って何を食べて、どんなことを話したらいいのだろう…?
落ち着かずそわそわしてたら右ポケットに入れていたスマホが鳴った。
ポップアップに1件の表示と『後ろにいるよ!』のメッセージ。振り返れば大好きなあの人がちょっとはにかみ手を振っている。恋になればいい、俺だけじゃない2人の恋になればいい。そう願わずにはいられなかった。
急いで彼女の元に駆け寄ると、風に揺れる髪から花の香りがした。柔らかな彼女の左手をそっと取ると、やっとこれは現実なんだと実感する。もしかして俺の心臓の音、聞こえてんじゃないかな?だって目の前の彼女は、すげえ驚いた顔してる。
「楽しい日にしましょうね、オネーサン!」
俺の言葉に、また少しはにかむ君がとても愛しい。