10.クリスマス休暇
※多少の性的な描写を含みます。18歳未満の方、そういうものが苦手な方はこのページを飛ばしてください。

「医務室に行こう…立てるか?」
「ん、ぅ……っ」
「これはこれは──想像以上の可愛さですね」

いつの間に戻ってきていたのか、エドモンドは苦しそうなレイラを見下ろしてうっとりと微笑んでいる。

「エドモンド……!まさかお前が何かしたのか」
「そんなに睨まないでくださいよ。俺はレイラの可愛さを堪能しようと思っただけで、何も悪い事はしていませんよ」
「可愛さを堪能って……何をしたんだ!!」

ドラコが怒鳴り声をあげても、エドモンドは気にした様子もなく微笑みを浮かべたままだ。

「少しイイモノ≠食べさせてあげただけですよ。さあレイラ、俺の部屋に行きましょう」
「ひぁあ…っ!?」

エドモンドが腕を引いた瞬間、レイラの口から甘ったるい声が上がった。初めて聞くその声にドラコの顔は真っ赤に染まり、思わず反応が遅れてしまった。レイラはそのままエドモンドの腕に抱き締められる。

「……っ、んん…!!や、なに…、」
「ああ、なんて愛らしい…」
「やだ…ぁんっ───う、ドラ…コ、ドラコ…っ」

エドモンドの手が触れた所から、ゾワゾワと得体の知れない感覚が広がっていく。この気持ち悪い感覚から助けて欲しくて、うまく動かない体で必死にドラコに手を伸ばした。

「エドモンド、レイラを離せ!!」
「ひぅ…ッ」

伸ばされたレイラの手を掴んでぐっと引き寄せると、思ったよりあっさりとその体は解放された。甘い悲鳴を上げながらドラコの体に倒れ込んだレイラを抱き締め、あいかわらずうっとりと恍惚の表情を浮かべたままのエドモンドを睨み上げた。

「それで? 君はどうするんですか?」
「どうするって……」
「効果は一晩程度で切れますが、一晩中その状態で我慢させるのは酷でしょう。快楽を与えて体の疼きを発散させてあげないと」

その言葉でレイラが食べさせられたイイモノ≠ニいうのが媚薬のようなものだと理解する。ならば医務室よりもセブルスの所へ行って解毒剤を調合して貰う方がいいだろうか。

「このまま放っておくわけないだろ!スネイプ先生の所へ連れていく」
「どうやって?」

そう言われてハッとする。とてもじゃないがレイラは歩けるような状態ではない。かといって、ほとんど体格差のないドラコではレイラを抱えることはできてもセブルスの部屋まで運ぶことはできない。力自慢のクラッブとゴイルはこんな時に限って腹を壊して医務室に行ってしまっている。

「レイラをここに置いてスネイプ先生を呼びに行けばいい」
「お前とレイラを二人きりになんかできるか!」
「それじゃあ俺が運んであげましょうか?」
「断る!」

こんなことをしている間もレイラは苦しそうに荒い呼吸を繰り返している。早くなんとかしてあげないとと思うのに、解決策が見つからない。レイラを守ってあげるなんて言いながら、彼女を運ぶことすらできない自分の無力さが嫌になる。

「ドラコ、ん……ふ、っからだ、あつい…っ」
「……レイラ」
「なん、か変なの…ひぁっ、う、こわいよぉ」

レイラはソファーに座るドラコの太ももの上に跨り、首にしがみつくように抱き着いている。苦しそうにもじもじと腰を動かすその仕草が淫らに見えて、ドラコはごくりと喉を鳴らした。
レイラの柔らかな二つの膨らみがむにゅりと押し付けられている。いつも抱き締めている時には意識したことなんてないのに。華奢な体格に見合わない大きさのそれがレイラの動きに合わせて形を変える。それを意識してしまうと、もうダメだった。丸みを帯びた肩やお尻、甘いバニラのような香りと甘い吐息。レイラの全てがまだ未熟なドラコの欲を刺激して、あらぬところに熱が集まるのを感じる。

「ああレイラ……怖がることなんてありませんよ。すぐに俺が楽にしてあげますからね」
「ん、ぁ…、っ、やぁ…!!ドラコ…ッ」

エドモンドから逃げるようにぎゅうっとしがみつかれ、飛びそうになる意識を必死で留めてドラコはエドモンドを睨みつけた。こんな男の目にいつまでもレイラを晒していたくない。
どうしたらいい。ある程度の重さなら浮遊呪文で浮かせられるようになったが、まだ人間を浮かせることはできない。ドラコ自身が抱えていく方が安全だ。休みながらならいけるだろうか。校内にいる生徒は少ないから、誰かに見られる心配もない。その時、必死に考えを巡らせるドラコに救いの手を差し伸べるように談話室のドアが開いた。

「ノット!!急いでスネイプ先生を呼んでこい!!」
「マルフォイ? 何が…」

訝しげに眉をひそめたノットはレイラの姿を見ると何も言わずに背を向けて談話室を出ていった。これで助かった。

「逃げても無駄だぞ」
「逃げる? どうして?」

セブルスが来る前に逃げられても、媚薬のようなものを食べさせたのはエドモンドだと証言できる。けれどエドモンドは逃げる素振りを見せず、うっとりとレイラを見下ろしたままだ。

「俺は悪いことをしたとは思っていませんが、スネイプ先生が罰するというなら甘んじてそれを受け入れますよ。思い描いていたことはできませんでしたが、こんなに可愛らしいレイラの姿を見ることができたんです。それだけで罰を受ける価値はありますよ」
「……イカれてる」

ドラコが吐き捨てた言葉にエドモンドは眉を上げ、おかしそうに笑みを深める。

「イカれてる? 俺がイカれてるっていうなら、君も大概イカれていますよ。血の繋がった双子の妹に欲情してるんですから」
「僕はそんな……っ!!」

バタン!と荒々しい音を立てて談話室のドアが開いた。談話室に入ってきたセブルスはレイラの姿を見た途端驚きに目を見開き、直後恐ろしい表情でドラコとエドモンドを睨み付けた。

「何事だ」
「エドモンドがレイラに何かを食べさせたらしいんです!」
「何を食べさせた」
「簡単な催淫剤ですよ」

エドモンドは悪びれた様子もなく答える。それを聞いたセブルスは眉間の皺を深くしてレイラの傍に膝をついた。

「ミス・マルフォイ、少し体に触れるぞ」
「……ッ、ぁん、……セ、ブ……っ?」

頬に触れられてびくりと体をすくませたレイラだったが、それがセブルスだと気付くと少し体の力を抜いた。セブルスは熱を測ったり下瞼を押し下げたりと軽くレイラの様子を見た後、不機嫌な表情のまま顔を上げた。

「解毒剤を調合する。ミスター・マルフォイ、ついてきたまえ」
「は、はい!」
「移動の間、少し辛いかもしれないが我慢しなさい」
「ふ、ぅ……っ、………んッ!!」

セブルスはドラコに跨るレイラの体を持ち上げ、横抱きにする。たったそれだけの動きでもレイラの口からは甘い嬌声が漏れ、何かを耐えるような表情でセブルスにしがみついた。
続いて立ち上がろうとしたドラコは自分のズボンを見て息を呑んだ。シンプルな細身のグレーのズボン。その一部分、丁度レイラが腰を下ろしていたところが色を濃く変えている。汗ではないだろうその正体に気付き、目眩がした。

「ミスター・エドモンド、スリザリンから五十点減点だ。罰則については追って連絡する」
「はい、スネイプ先生」

いつも以上に冷たく聞こえる声で言い放ち、セブルスはレイラを抱えたまま歩き出す。ドラコは談話室の入口で顔を顰めているノットに「助かった」と礼を言ってセブルスの後を追って談話室を出た。
セブルスは極力振動を与えないように歩いているが、それでもレイラは苦しげに甘い声を上げる。静かな地下牢に響くその声に頭がおかしくなりそうだ。あまり遠くないセブルスの自室までの距離が果てしなく長く感じた。廊下を歩く途中、セブルスの視線が自分の下半身に向けられたのに気付いてドラコはかぁっと顔を赤らめた。

「……これは生理現象です」
「そうか」

普段はないその膨らみが妹に欲情して起こったものではないと主張するが、セブルスはさして興味もなさそうに再び前を向いて歩き続ける。

「しばらくここで横になっていろ」
「うぁ…っ、やだぁ……」
「……レイラ、」

部屋に着き、ベッドの上にレイラを寝かせようとするがそれを拒むように少女はセブルスの体にしがみつく腕に力を込めた。どうしようもないくらい人肌が恋しくて、離れたくない。

「ん…っ、離れちゃ、いやよ…」
「解毒剤を飲まなければ辛いままだ」
「やだぁ…っ」

いやいやとぐずるレイラに溜息をついたセブルスは部屋の中で立ち尽くすドラコを手招きしてベッドに座らせ、その上にレイラを座らせた。レイラは今度はあっさりセブルスから離れてドラコに抱き着く。

「スネイプ先生…!?」
「くっつかれていては調合ができん。そのまま面倒を見ていなさい」
「で、でも…」
「『生理現象』なのだろう?」
「……っ」

暗にお前はレイラの兄なのだから手を出すなと念を押された気がして、ドラコは唇を噛み締めて頷いた。解毒剤は三十分ほどで完成した。けれどその三十分はドラコにとって今まで味わったことがないくらい、辛く長い時間だった。耳元に響く甘い声も柔らかくて熱い体も、毒のようにドラコの思考を侵す。まるで拷問だ。

完成した解毒剤を飲むと、荒く苦しげだったレイラの呼吸はすぐに落ち着き、穏やかな表情で眠りについた。その体をベッドへ横たわらせ、セブルスは苦々しげな顔でドラコを見下ろした。

「君がいるから安心だろうと思ってレイラのスリザリン寮への滞在を許可したつもりだったのだが」
「……すみません。少し目を離した隙に…」
「こんなことがあった以上、もう彼女をスリザリン寮へ立ち入らせるわけにはいかない。残りの休暇は規定通り自寮で過ごさせる」
「……はい」

せっかく休暇中一緒に過ごせると思ったのに。だがレイラを一人残して談話室を離れた自分が悪いのだと、ドラコは大人しく頷いた。それにもう二度とレイラをエドモンドに近付けたくなかった。

「今夜はここに寝かせて明日グリフィンドール寮へ送り届ける。君ももう寮へ戻りたまえ」
「……ここに寝かせるんですか?」
「心配せずともこんな幼い子供に興奮するような性癖は持ち合わせていない」

不機嫌そうに吐き出された言葉に慌てて頭を下げ、もう一度レイラの穏やかな寝顔を確認してからドラコはセブルスの部屋を後にした。だが真っ直ぐに談話室へは戻らず、途中にあるトイレに入った。誰もいないことを確認して個室に入り、ズボンを下ろして痛いくらい張りつめたそれを取り出した。
柔らかい体、甘い匂い、吐息。目を閉じると全てが鮮明に浮かび上がってくる。苦しそうに眉を寄せる表情。ドラコ、と名前を呼ぶ声。ふいに頭の中のレイラがいつもの笑顔を浮かべた。いかがわしさなんて微塵も感じさせないその笑顔にすら興奮を覚え、ドラコは熱い息を吐く。

「ドラコ、大好きよ」
「………っ!!」

見慣れた笑顔。生まれてから何度も聞いた言葉。それを思い浮かべた瞬間、耐えきれずに欲が弾けた。罪悪感と自分に対する酷い嫌悪感でドラコは蹲ったまましばらく動くことができなかった。

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