休みの日の過ごし方(クラウド)

  

体を優しく揺すられる感覚に、徐々に意識が浮上してくる。ぼんやりとした意識の中で、ゆっくりと瞳を開けた視界には、間近で覗き込む名前の顔が映った。「クラウド」と呼ばれた名前に応えるかのように、腰に手を伸ばしてそのまま抱き寄せると、驚いた様子ながらも名前の体は重力に従い、クラウドの上へとゆっくりと倒れ込む。
覚醒したばかりの頭に、名前の優しい重みが心地良い。
このまま、もう一度眠りに身を任せてしまうのもいいかもしれない…ぼんやりとそう思ったクラウドだが、胸の上で身動いでいる名前の声に再び意識は覚醒させられた。

「クラウド、起きて」
「……ん」
「せっかくのお休みなんだから、どこか行こうよ」

そんな可愛らしいおねだりに瞳を開ければ、目が合った彼女は「ね?」と念を押すように微笑んだ。名前がクラウドに何か頼み事をしてくることは珍しい。普段、忙しくしているクラウドを見ているからか、自分の希望要望は極力言わないようにしている…名前からはそんな印象が伝わってきていた。珍しい彼女からの些細なお願いとなれば、当然クラウドも叶えたいと思う。それは間違い無いのだが、今胸の上に乗っている名前がとても可愛らしく、心地良くて、正直手放し難いとも思ってしまう。
それに…

「…名前…随分、元気だな」
「え?そう?」
「…加減、しすぎたかな…」

そう言いながら、さらに強く抱きしめると名前の表情に動揺が浮かび、慌てたように再び身動ぐ。そんな彼女が可愛くて仕方なくて、クラウドは思わず小さく笑っていた。表情がよく変わる名前の色んな表情がもっともっと見たくなる。

「いつの間にか、身支度も整えてるし…」
「クラウドより、早く目が覚めちゃったんだもん」
「いつもは俺の方が早いのにな」

クラウド、疲れてたんだよ…と笑う彼女に、確かにその通りかもしれない…とクラウドは思った。ここのところ、仕事が立て込んでいた。遠方に出向くことも多かったから、しばらくは自宅には寝に帰るだけのような状態が続いていた。
それでも名前は毎日寝ないで待っていてくれた。何度「先に寝ててくれ」と言ったところで聞く耳持たず…
「ちゃんと無事を確認したいから」というのが名前のいつもの返答だった。たまにテーブルに突っ伏したまま寝落ちしていることもあったが、クラウドにとってはありがたい気持ちでいっぱいだった。
そんな仕事もひとまず片付き、今日は久しぶりの休み…昨夜も帰りは遅かったが、名前はいつも通り待っていてくれて、体を重ねた。それすら、久しぶりのことで…もっと抱きたいという欲を必死に抑え込み、すでにぐったりとしている名前を抱きしめ、眠りについた。
それが朝になってみれば、元気そうにしている彼女…「加減しすぎた」と思わずクラウドの本音が漏れてしまったことも仕方のないことかもしれない。体の上に乗っている名前の額にキスをして、上から布団をかけると抱きしめたままクルリと体を反転させる。あっという間にクラウドの下に潜り込む形になってしまった名前から驚きの声が上がった。

「ちょ…と…クラウド」
「…なんだ?」
「服、着てよ」
「……………」

あわよくばこのまま…と思っていただけに、思わず無言になるクラウドを見て、名前は察したようにわずかに頬を赤らめた。そして、両手でクラウドの頬をそっと包み込むと、真っ直ぐに瞳を向けながら「こんなに明るいうちから、出来ないよ」…と、一言。ほんのり赤く染めた顔で、恥ずかしそうにその一言…それが一体、どれほどの破壊力を持っているか、彼女にとっては知る由も無いのだろう。

「…足りないんだ」
「昨日、たくさんしたよ…」
「それでも…名前が足りない」

少しだけ考えるような素ぶりを見せた名前が、クラウドの頬に短い口付けを返す。一瞬合わさった瞳はすぐに逸らされてしまったが「…でもやっぱり、明るいうちはダメ」という消え入ってしまいそうなほど小さな彼女の声がしっかりとクラウドの耳に届いた。
それはつまり、“今”ではなく、“今夜”なら許された、ということだろう。一方的に求めるばかりでは無い、という事実が妙にクラウドに安心と納得をもたらし、驚くほど素直に「わかった」という一言が口から出た。もう一度名前の頬にキスをするとくすぐったそうに名前が笑う。

「ふふっ、早く服着て〜」

その笑顔に思わずふ、と笑いながら「どこに行きたいんだ?」と聞くクラウドに名前がパッと目を輝かせたのがわかった。クラウドがいなければ、名前1人で遠くまで出向く事は難しい。行きたいところがたくさんありそうだ。
嬉しそうに口を開く名前を見ながら、クラウドはわずかに目を細めていた。2人でのんびり過ごす朝も悪くない…そんな風に思いながら。



後書き→
ミリ様よりリクエスト頂きました、『クラウド夢で、特に予定のない日にいちゃいちゃする』という内容で書かせて頂きました!
まだまだヒロインちゃんとまったりしたいクラウドと、せっかくの休み2人でどこかに出掛けたいヒロインちゃん。休みの日の過ごし方ってそれぞれなので、なんとなく2人はそんなイメージかな、と思いながら書かせていただきました。気が付けば、最初から最後までクラウドが裸なのは目を瞑ってくださいませ(*^^*)笑
ミリ様、素敵なリクエストをありがとうございました!ちょうど管理人の多忙時期と重なってしまい、随分お待たせして申し訳ありませんでした!拙い文章ではありますが、ほんの少しでも楽しんでいただけましたら嬉しいです!
この度は企画へのご参加&素敵なリクエスト、本当にありがとうございました〜(*^^*)

  

ラピスラズリ