case?:ハロウィンの花嫁



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ピピピッ、スマホが鳴る。
非通知からの着信。もしかして…。
一息飲んで電話に出る。


「…もしもし、松田です」
「僕だ、瑠衣さん」


「降谷さん…」

ずっと、聴きたかった声が聞こえた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「僕が爆弾をはめられ、公安のシェルターにいることはコナン君から聞いてるな?」
「はい、一応」
「悪いけどそんなに時間がないんだ。風見から君の様子は聞いたよ、捜査一課の刑事たちはまた公安の横暴だってお怒りだと」
「そうですよ、みんな松田陣平の名前を見て、自分たちのヤマだって思ってますから」

「そうだろうな、松田の同期である僕のことも探したんだろう?」
「公安である貴方は、警視庁のデータベースにはヒットしなかった。佐藤さんたちは貴方のことを探してますよ」

「そうだろうね、君は証言したのかい?3年前のあの事件のこと」

「わたしの知っている範囲では話しましたよ。でも貴方たちの顔は知らないって言っときました」
「丸腰で現場に突入、爆弾魔の前に現れて、先輩刑事に怒られたって話?」
「そんな話はしてません!…もう!!」


お兄ちゃんとの最期の日。新人だったわたしにとってあの日の事件は貴重な経験だった。
確かに今となっては無謀でしかないことをしたし、意味のあることはなかったかもしれない。

死にかけたのはわたしじゃなくてこの人だけど、警察学校時代のあの頃とは違う、刑事としてのみんなが見れた。
ゼロに言われたことも全部覚えてる。
わたしが、わたしとして刑事として生きてくためにもらった大事な言葉だ。




「それで、降谷さんの用件ってなんですか…?」
「コナンくんには伝えたが、犯人は3年前の事件に関わった僕ら全員を誘き出したいのかもしれない。実際、僕以外は出てきようがないんだが、矛先が君に向く可能性もある。気をつけて」
「…わかりました。でもそれ、コナンくんから聞いてます。本当は?」

電話越しにフッと笑った。
「…君の声が聞きたくなってさ」



「なんですかそれ、わたしが連絡したい時は出ないのに…」
「そうだね、僕は勝手ばかりだ」
「そんな、最期みたいな…怖いこと言わないでください…」

涙が溢れた。



「泣いてる?」


こんなに泣いたのはいつぶりだと自分でも考えてしまうぐらい、次から次に出てきて、止まらない。
「泣いてます!!ほんとに、バカ!」
思い切り声を出す。


「口が悪いよ、そんなところ松田に似るな」
「ふふっ…もう遅いですよ。わたしはお兄ちゃんを見て育ったんですから」






「瑠衣」

「僕は諦めてないよ。彼がこの状況を切り返してくれる」


わたしは前に巻き込まれた事件で、彼の正体を知ることになった。降谷さんにはもちろん内緒だけど、この人もコナン君が普通の小学生ではないことはすでに見抜いている。


「コナンくんの事信頼してるんですね」
「彼には風見の連絡先を伝えてある。何かわかったら連絡をくれるはずさ」
「わたしも、できる限りコナン君の手助けをします。あなたを解放するために」
「…ああ」


そこで電話は切れる。
わたしはこれを最期にしない。
お兄ちゃんが繋いでくれたもの、それにわたしも応えるために。




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