あ、あいつがいる。



いつも通り屋上でサボろうかと、重く錆びついた扉を開けたときだった。
貯水槽の上じゃから、古く危なげになっている梯子を昇ったまたその上。
女子生徒のスカートが風ではためいて、それがコンクリートの隙間から覗いちょる。

この屋上には人は来ない。何でも何年か前に自殺した生徒がいたとかで、鍵もかかっている。本当は。それは俺がしばらく前に壊したんじゃが。それからは俺の城のように、屋上を勝手にそう思っとったから、おっ、なんじゃ誰に許可とってここにいるんじゃと近づいてみると、それが同じ委員会の気になる女子と気付いた。横顔が、熱心に何かを見ている。手元にある携帯か。イヤホンまでさしとるから、動画でも見ちょるんか。
あいつはからかってみると顔を赤くして反論してくるのが楽しくて。仁王先輩!と怒る様が面白い。真田に怒られるんは嫌やが、こいつにならいくら怒られても構わん。そう思うくらいには気に入っとった。女子として好きかどうか肝心な気持ちは自分でもようわからんが、それでも気に入ってはいた。
梯子を登り、お前さん何しとるんよ?なんて声をかけようとした。あいつが俺に気付く。目が合う。斎藤が固まった。俺も固まった。
斎藤は右手をパンツの中に突っ込んどった。膝を立てちょるからスカートの中身が丸見えで、ちょうど梯子を登った俺の正面に白のパンツが見えるっちゅー、見てくれと言わんばかりの構図じゃ。エロ動画の配信か何かかよ。こういうの広告でよく見るぜよ。
パンツの中の指は見えんけど、すこしゴムからはみ出た毛がなんとも言えず現実くさい。あと濡れきったパンツが完全に透けとった。陰唇に布が張り付いとる。なんじゃこれ。
先に動いたのは斎藤の方じゃった。ひっ、と細い悲鳴を上げて、縮こまる。俺もさすがに真っ白になっとった頭が動き出して、梯子を登りきると斎藤の腕を掴む。びく、と震えたこいつの体を抱き込んで、思わずキスをした。据え膳以外のなにもんでもない。
逃げかけた舌を捕まえて絡ませる。舌を噛んで、歯を舐めまわす。唇を離されないように顎をがっちりと掴んだ。唾液は悪くない味がする。もう片方の自由な手でパンツをぐいっとおろすと、白いパンツが他の色彩から浮いとるように見えた。足を多少ばたつかせて抵抗される。そんなん知るか。
唇を離すと唾液が糸を引いた。えろい。斎藤ははあはあと整わない息を何度も吐き出した。目が溶けている。
制服を脱がさないままに、そのまま指を突っ込んだ。ぐちゃんと卑猥な音がして、斎藤がひゃん!と啼く。

「なん、お前さんここで何しとったんじゃ?えろいこと?」
「ん、あ、仁王先輩っ!」
「何しとったか聞いとるんじゃけど。エロい動画の配信?見せびらかす趣味でもあったんか」
「や、ち、ちがっ」
「それか一人で学校で弄ってたんか、エロビでも観て」

瞳が揺れて斎藤の体がかっと熱くなった。きゅっと膣が閉まる。もうこいつえろすぎぜよ。

「斎藤、真面目そうな顔しといてそりゃあなか」
「ご、め、なさ!」
「見つかったのが俺でよかったのぉ…感謝しんしゃい」

気持ちよくしてやるぜよ。そう言ってぐちゃぐちゃと2本の指で斎藤の中を掻きまわすとこいつはすぐに達ってしまった。

「元から出来上がっとったんか、早すぎじゃお前さん」
「ふ、あ、」
「よしよし、今もっと気持ちよくしてやるきに」

ぐったりとした体を持ち上げ、そのまま俺のものを突っ込んだ。うわ、濡れすぎじゃし。つーかゴムしてねえ。外に出すか。

「なんじゃこの格好でそんな、気持ちよがるな」
「せんぱいっ、な、やあ!」

対面座位で唐突に突っ込んだにも関わらず、こいつはきゅうきゅうと健気に俺を包んだ。正直に言うと滅茶苦茶気持ちよくて理性飛びそう。
奥の方をトントン、と突く。眉根をよせて、きつく閉じられた赤い瞼。それがまたなんともいえん顔で、再び強引に唇を寄せた。下の動きと連動するように口の中も掻きまわす。さすがに暑すぎぜよ。
汗で湿った尻たぶを開いて持ち上げてやると、斎藤は更によがってぎゅっときつく俺を締め付ける。きつくて無茶苦茶に突いてやるともっと気持ちよくなって、悪循環だと悟った。

「ひゃ、あ、いっちゃ、」
「はえーし、締め付けすぎじゃし!ばっ、か」
「もう、やっ」

ふるふると首を振って、我慢できなかったようにギュッと強く締めつけられ。童貞だったときもこんなに耐えられなかったことなかったよなと思うくらい早く精液が出た。直前で抜いて、眩しい太ももに全部ぶちまけちまった。情けねえ。

「も、お前さん反則じゃ」

半目で疲れ切ったようにぐったりとしている斎藤に、エロビデオの気分で精液を指先ですくって近づけてみる。口元にそれを寄せると、ぼんやりした顔でぺろり、と赤い舌が指を舐めた。まじか。

「まず…」
「おいこの流れでその感想はなかよ…」

はあ、とため息を零して、斎藤を抱きしめた。完全に負けた気分じゃった。可愛いしエロかった。こいつは捕まえておかんといかんかもしれん。


まぶしい白い腕が首に絡みつく。蛇のように。

「せんぱい、つーかまえた」