塗り替えられる歴史
アーデルと委員長の戦いは委員長が勝利を収めた。アーデルは鎖に繋がれてしまい、綱吉君達は4つ目の"鍵"を授かる。4つ目の鍵はインクの瓶だった。私達が見た記憶は敵に囲まれたシモンファミリーをT世が助けに行こうとしているところだった。信じられないという顔をしているアーデル。記憶の中のT世は初代シモンへの手紙の存在を知らなかった。何者かが初代シモンを罠にハメたことになるとリボーン君は言った。
「そこにいる君は…誰だい?」
委員長が手錠を投げつけた先にいたのは彼とクロームだった。アーデルは炎真のことを彼に託そうとする。が、彼はこれでキレイさっぱりシモンに見切りをつけられると吐き捨てた。ジュリーの姿をした彼はついにその本性を現す。
「仲間割れか!?」
「やはり一枚岩ではなかったな…。恐らくあいつがシモンの黒幕と関係している。」
「お、いい勘してんじゃんアルコバレーノ。ここまでくればボンゴレ側にも隠すこたねーよな。いいやむしろ挨拶をした方がいいですね。腐った若きボンゴレ達よ。」
『この人…、初代霧の守護者…。』
ジュリーの姿をしていた彼は初代霧の守護者、D・スペードだった。彼は綱吉君達を潰すためにシモンを利用し、彼等の誇りを踏みにじったのだ。Dの目的は現ボンゴレの転覆。
『なんてことを…っ!』
違和感は間違いじゃなかった。商店街であったあの時からジュリーではないとわかっていたはずなのに。確信が持てなかった。それがこんなことに繋がるなんて。
「…すまない…、炎真…。」
「見苦しい涙だ。所詮まだ青い子供に過ぎない。」
「許さねえ!!」
怒りに顔を歪ませる薫がDを刺す。どうやらDの話を薫は聞いていたらしい。そして薫が武君を瀕死に追いやった事実が明かされる。武君を殺そうとしたのが薫だったなんて。2人は友達だったはずなのに。薫はDを倒そうとしたが叶わなかった。薫はDの力によって重傷を負う。委員長がDと戦おうとしたが、操られているクロームによって阻まれてしまう。
「私はD様のものだから…、六道骸の肉体もいずれは…、」
『骸君の体…!?』
Dは実体化するためにクロームを利用して骸君の体を奪おうとしているのだという。骸君を倒したい委員長は再びトンファーを握るが、クロームの霧のカーテンを壊せばクロームが死んでしまうようだ。それを聞いた委員長はピタリと止まる。
「ぐぅ…デイモン!!」
薫がDに攻撃するが、すでに怪我を負っている薫は敵わなかった。絶体絶命を迎えたその瞬間、希望となる彼が現れる。Dの攻撃から薫を守ったのは武君だった。自身を心配し助けてくれた武君に何故助けたのかと薫は聞いた。
「本当に困ってる時に助けてやれるから友達なんじゃねーか。」
そう言って笑う武君に涙が溢れた。シモンとボンゴレの間に誤解があったことがわかった今、本当の意味で彼等は助け合うことができる。こんなに嬉しいことはない。
武君はVGでDに応戦する。後ろからの攻撃に受け身を取らないでいると薫が武君を庇った。そしてその直後、復讐者によって鎖に繋がれてしまう。
『なんで…!!』
どうやら薫の誇りはすでに折れていて、敗者と判断したらしい。薫は優しくしてくれた友達を裏切ることに心を痛めており、限界だったようだ。薫が敗者となったことにより綱吉君達に5つ目の"鍵"が授けられる。
それはDがシモンファミリーを八つ裂きにするよう部下に命じた記憶から始まった。Dの芝居によりT世は戦地に向かうことをしなかった。そして初代シモンの元へはDの部下が辿り着く。しかし初代シモンは全てわかっていた。Dが裏切り、自分達を全滅させにきたことを。
「もはやここまでというわけか…。だが俺は最後まで戦うぞ!たとえこの身が朽ちようともファミリーと友のために!」
「…………、」
「…もっとジョットを信じてあげてコザァート。そうでしょう、G?」
「!!…この声は…、」
「ああ、お言葉だがボンゴレT世はD・スペードより更に上手だ。我々のボスはD・スペードの企てを見抜いていたのだ。ボンゴレT世の命により…いや、お前とジョットの友情において俺達がシモンファミリーを死守する!」
「ネブローサ!!G!!」
「コザァート。こいつらは俺と同じジョットの守護者だ。信用してくれ。」
「ここで派手に暴れることもできるが俺達はD・スペードにシモンファミリーを助けたことを知られたくない。ここはこいつらに任せてお前達は俺と共にジョットの下へ。」
「君も一緒に行きなよ。」
「はぁ、アラウディ。そのいつもの過保護はやめてほしいの。私だって戦うわ。」
「うるさい、早く行って。」
「何よその態度!」
「お前ら喧嘩は後でやれ!!」
「ぷっ…、G、ネブローサ、ジョットの守護者達、ありがとう。」
「「『!!!』」」
「バ…バカな!!T世に私の策が見透かされていただと!?」
「シモン…コザァートは…、」
「殺されていなかった…、」
戦いによって殺されたと思われていた初代シモンはT世により助けられていた。語り継がれていた2つのファミリーの歴史が今変えられようとしている。
『よかった…、』
ホッとしながらふと炎真の方を見た。すると彼はいつの間にか起き上がっていて、焦点の合わない瞳でこちらを見ていた。握っていた手が強い力で握り返されて、その痛みに顔を歪める。
『炎…真…っ、痛い…!!』
「花莉………、わた、さ、ない……渡さない。」
冷たく、光を宿さない赤い瞳はすでに私の知るものではなかった。