幼き弱さにさよなら
我を失う炎真は次々と綱吉君に攻撃を仕掛ける。綱吉君も必死に炎真に拳で語りかけるが、炎真には届かなかった。そして綱吉君はわざと炎真の攻撃を受け、炎真に訴えかける。きっと綱吉君にも炎真の声が聞こえてるんだ。
『炎真!!シモンリングに負けないで…!!炎真は1人じゃない…!!』
どうか届いてーーー、
「!!花莉……?」
『!炎真…!』
「ツナ君!!…痛っ、」
瞳に光を取り戻した炎真は、頭を押さえた。どうやら正気に戻ったようだ。
「そんな、ツナ君…僕は…、」
「エンマ!正気に戻ったんだな!」
『炎真…良かった…っ、』
「花莉…、ぼ…、僕は…、」
「もういいんだ。助けに来た。」
「!…ツナ君もボンゴレT世のように裏切らなかったんだね。」
穏やかに笑う炎真を見て、じわりと目頭が熱くなった。もうきっと大丈夫だと、そう思ってた。しかし炎真のシモンリングの力は暴走し、炎真自身がブラックホールとなってしまう。炎真を助ける為にはブラックホールをかき消すしかない。
「オペレーションXX。」
綱吉君は両手を前に構えた。X BURNERの時の構えとは違う。彼はX BURNERを両手で打とうとしているのだ。これはまだ彼等の誇りをかけた戦い。何も出来ないのが歯痒くて悔しい。それでも私は信じよう。きっと綱吉君なら炎真を救ってくれると。
「XX BURNER!!」
凄まじい炎圧に体が耐えられず後ろに傾いた。しかし誰かにそっと体を支えられて、吹き飛ぶことはない。
『委員長…!』
「世話が焼けるね。」
委員長は私を支えながら、リングの炎で私を守ってくれた。そのうち、大きな爆発音と衝撃が私達を襲った。煙が邪魔をしてどうなったのかわからない。綱吉君と炎真は無事なのだろうか。
「いつつつっ!」
「ガウッ!」
『綱吉君!』
綱吉君が煙が姿を現した。ボロボロだったけど、大きな怪我はなさそうだ。そして少しした後、炎真も出てきた。彼もボロボロだったけれど、大きな怪我はないようだ。綱吉君達は炎真に駆け寄り、話をしているけど私の足は進まない。伝えたいことは沢山あるのに、なんて言葉を掛けたらいいのかわからないのだ。
「…行きなよ。」
『え…、』
「君の素直な気持ちを伝えたらいい。」
『!!…はい!』
私は委員長の元を離れ炎真の側へと駆け寄った。炎真は私の顔を見ると申し訳なさそうに目を逸らす。私は炎真の前でしゃがみこみ、彼と同じ目線になった。
『炎真、ありがとう。』
「!!…え、」
『私を守ろうとしてくれてありがとう。』
「違う…僕は結局君を傷つけただけだった…。」
『ううん、私は炎真に守られてたよ。幼い頃の私には炎真達しかいなかった。炎真達は私に守られていたって思っているみたいだけど、逆なんだよ。私は友達が欲しかった。誰かにそばにいて欲しかったの。そんな欲で炎真達を利用した…。』
「違う…!!僕の弱さで…!」
『……炎真、私は弱かった。全てをこの瞳のせいにして言い訳をしていただけ。でも、もう嫌なの。この瞳を嫌う自分が。だからもう弱い私を守らなくていい。』
「花莉…、」
『私は炎真と対等になりたい。炎真が背負ってるものを分けて欲しい。一緒に乗り越えたい。二度と弱い自分に負けないように私も強くなるから。そしたら、私ともう一度ーーー、』
友達になってくれますか?
「!!!」
今なら胸を張って言えるよ。もう一度貴方と本当の意味で友達になりたい。あの頃の弱い私とさよならをして。
「花莉…っ、ごめん、ごめん…っ、」
私は涙を流す炎真をそっと抱き締めた。遠慮がちに背中に回される腕は少しだけ震えている。
『炎真はずっと、私の大好きな幼馴染だよ。ありがとう。』
この瞬間、私達は幼い頃の弱い自分とさよならをしたんだ。