融通の効かない運命だ
炎真と和解することができた綱吉君達の目的はただ一つ。Dを倒しに行くことだった。炎真も協力してくれるようで、私達はDの元へ向かおうとした。が、それは復讐者によって阻まれてしまう。綱吉君と炎真の勝敗は決まった。故に彼等は"鍵"を私達に授ける。6つ目の"鍵"である透明のおしゃぶりによって私達は過去へと誘われていく。初代シモン、ボンゴレT世、初代嵐の守護者、そして初代星空の娘が話していた。初代シモンはDの件をなかったことにするようボンゴレT世に頼む。そして初代シモンは表舞台から去ることを決意した。ボンゴレT世は初代シモンの固い決意に反対することは出来なかった。その代わり、ボンゴレが続く限り永遠にシモンを支えていくことを誓った。
「なら俺も誓おう。この件でシモンファミリーはボンゴレファミリーを恨んだりはしない。ましてや両ファミリーが争うことは未来永劫無い。」
「ああ。」
「ふふ、」
「どうしたネブローサ。」
「なんでもないわ。こういう時の2人の目が好きだなって思っただけ。Gもそう思わない?」
「フ…そうだな。」
「言ってしまったね。」
「なんだ!」
「あの炎は!!」
「マフィアの掟は仕切らせてもらおう。ジョット君にコザァート君。」
「奴らは!」
「復讐者!それとも…バミューダ・フォン・ヴェッケンシュタインと呼ぶべきか?」
「バミューダ…、」
『!!』
最後に現れた透明なおしゃぶりを持った赤ちゃんに感じた既視感。私はあの子を知っているような気がした。リボーン君は透明のおしゃぶりについて焦るように問うが、リボーン君の望む答えは出てこなかった。炎真はシモンのボスであるため、今行われている最後の戦いの後に投獄されてしまう。どうにか炎真達を助けることは出来ないのだろうか。
「クロームの所へ行こう!」
「うん!」
私達は最後の戦いが行われている場所へと向かった。クロームちゃんがいるであろう別棟へと辿り着いた私達が見た光景は、倒れているジュリーと三叉槍を持つ骸君の姿だった。
「ああ!骸!!クロームの体に憑依してるんだな!」
「おやおや、愚かなマフィアがゾロゾロと。」
骸君はどうやらジュリーに憑依していたDを倒したみたいだ。優雅に笑う彼にホッと胸を撫で下ろす。すると彼は私のそばに来て、私の頬にそっと触れた。
『良かった…無事で…。』
「こちらの台詞ですよ。貴女は悍しい計画に巻き込まれかけたんですから。心配かけさせないでください。」
『ご、ごめんなさい。』
「いいえ、貴女が無事ならいいんです。」
骸君に触れられたところが熱を帯びていく。彼はこんなにも優しく笑う人だっただろうか。ドキドキと心臓の鼓動が早くなる中、何かが骸君目掛けて飛んでくる。骸君は三叉槍で防いでいた。地面にカラカラと音を立てて落ちたのはトンファーだった。
「咬み殺そうと思ったが、それだけ体力を使い果たしていては勝負にならないな。あとその子に触らないでくれる?」
「"その子"ねぇ…、クフフ、雲雀恭弥。僕はいつでも相手になりますよ。」
私はそっと委員長に腰を掴まれ、引き寄せられた。そんな様子に骸君は面白そうに口角を上げ、クロームちゃんに体を返した。倒れていくクロームちゃんの体を綱吉君がスライディングで受け止めた。いや、受け止めたというよりも下敷きになったという方が正解だが。骸君がDを倒したことを知ると彼女はホッとしたように笑った。
しかし、和んでいられるのも一瞬だった。クロームちゃんのボンゴレ匣であるムクロウちゃんが、突然話し始める。ムクロウちゃんに骸君が憑依したらしい。骸君は自分の体に戻れないと言う。そして目を覚ましたジュリーは今度こそ本当のジュリーだった。状況が分かっていない彼からはもうDの気配を感じない。そこから骸君が考えられない可能性は一つ。骸君の体がDに奪われてしまったのだ。
「復讐者!!」
今頃になって復讐者が現れる。戦いに敗れたジュリーを連れて行くのかと思いきやそうではないようだ。彼等が言うには肉体を手に入れたDが復讐者の牢獄を破壊しているらしい。そのDの処理をするよう彼等は要求してきた。それを聞いた綱吉君と炎真は、Dを倒す代わりに牢獄に捕まった皆を出すように求め、復讐者はそれを承諾する。
『…っ、何か、来た……っ、』
大きな力を感じた。恐ろしく冷たい何か。私達の目の前に現れたのは、すでに人の領域を超えた、化物。
「ごきげんよう。さあ、終えましょう。君達の世代を。」