暗闇の片隅で

「あの黒髪がD・スペードなのか…?」

ふわりと靡くその黒髪に不適に笑うスペードを宿した瞳。今までとは違う禍々しさを感じた。戦闘態勢に入る綱吉君達だったが、骸君の体を案じたクロームちゃんが止めに入る。しかし骸君自身が全力で立ち向かうよう言った。それほど今のDは危険なのだ。

「はじめま、しょうか?」

それは一瞬だった。綱吉君達の目の前にDが現れた、その直後に爆発が起こる。

『皆!!』

爆発から逃れたのは綱吉君とクロームちゃんとリボーン君と炎真の4人。隼人君達は消えてしまった。

「さしあたっての手品です。」

「牢獄からD・スペードが出てきた時と同じ炎を感じた。さてはどこかへ飛ばしたな。」

「さすが鳥となっても六道骸。その通りです。彼等はこの穴より私の創った幻覚世界へ行って頂きました。」

Dが隼人君達を幻覚世界へと飛ばしたのは綱吉君の最後を語り継ぐ者になってもらうため。彼は本当に綱吉君を殺すつもりなのだ。

「下がってて。」

『っ、委員長…、』

私の一歩前に出る委員長。そして、彼はVGを身につけ、Dへと攻撃を仕掛けた。

「語り継がれるのは君の死の方だよ。」

「ヒバリさん!!」

「手を出さないで小動物。」

「ヌフフフ似ている。見れば見るほど初代雲の守護者アラウディに。この時代にそのような男と戦えるというのはまったくもっておつですね。」

Dの体から目玉が2つ、そして大きな口が現れた。不気味なその現象に鳥肌が立つ。

「これは失礼。シュールが過ぎました。」

「いいね♪」

『どこがですか!!!』

相変わらず怖いもの知らずな彼に思わず叫んでしまった。Dは牢獄から奪い取ってきたシモンリングの力によって、シモンの力を操っている。そしてシモンだけではなくボンゴレのVGの力まで使い始めた。幻覚とはいえ本物と大差のない力に対峙する委員長。トンファーによってDの体は貫かれるが、彼は晴れのVGによって委員長に極限サンシャインカウンターを撃つ。

『委員長!!!』

委員長は爆風から出てきたが、Dのトランプによって異空間へと閉じ込められてしまった。

「彼にも他の守護者同様幻覚でできた異空間へ行っていただきました。これ以上の戦いは無意味。勝負の行方は明白ですからね。」

委員長によってDの体にあけられた穴は塞がって綺麗に治ってしまう。

「雲雀恭弥がいなくなった今、」

『っ、』

「心を乱した貴女を捕まえるのは容易い。」

「花莉先輩!!」

一瞬で目の前に現れたDに為す術はなかった。彼は私の前でトランプを出し、また後ほど、と言ったところで私は異空間へと飛ばされてしまったのだ。トランプの並んだ世界に映し出された綱吉君達の映像。閉じめられた他の皆も私と同じような状況なのだろう。

Dは綱吉君を信じる炎真の姿を見て、炎真の家族がどのように殺されたのか語り始めた。そして、語られた真実はあまりにも残酷で、凄惨な真実だった。家光さんのフリをして炎真の家族を殺したのはD。いや、炎真の家族だけじゃない。沢山の人達を己の目的の為に殺したのだ。

『…………っ、』

「花莉。」

『!?』

呼ばれるはずのない名前。声のした方を向けば、暗闇の世界に立っていたのは彼だった。

『委員長…………?』