元帥と中将と
『……………』
「……………」
「……………」
「……………」
もう16歳になったとは言え、私だって恐れを感じることは当然ある。例えばとても体格のいい強面のお爺様方と対峙した時とか。私の少し後ろに立っているヤクザのような強面の人は私のことを助けてくれたことや、内から滲み出る優しさを感じることから恐れを抱くことはなかった。クザンさんも体は大きくもあの性格なので怖くはない。だがこの二人はなんとも威厳のある二人だった。正直に言おう、怖いと。
「真珠、と言ったな」
『ひゃ、ひゃい!』
「ガッハッハ!怯えられておるぞセンゴク!」
「貴様もだろうがガープ!!…ゴホン、まずは我が海兵を庇ってくれたこと、感謝する」
『あ、いや、それは…』
「わかっている。"足を滑らせた"だろう。」
『はい』
実は私が海賊に誘拐され、スモーカーさんに救ってもらった際に、まだ銃を持っていた海賊から私は一人の海兵さんを庇って怪我を負ってしまった。それも原因で海軍本部に留まることになっている。
「今回はそういうことにしておくが、今後はそのような行動は控えてくれ。」
『はい。すみませんでした。』
「固いのぅセンゴクは。今時いないじゃろうこんな肝の座った若者は!わしは気に入ったぞ」
「そういう話をしているんじゃない!貴様はいつもそうだ!」
ちらりとスモーカーさんの方を振り向けば彼は呆れたような顔をしてお爺様方を見ていた。
「いい加減におし馬鹿共」
鶴の一声とはまさにこのことだろう。お爺様方を止めたのは正義のコートを肩に掛けたクールなお婆様だった。
「話がてんで進まないじゃないか。早く本題に入ってやんな。馬鹿共が悪いね真珠」
『い、いえっ!えと、』
「おつると呼んどくれ。あんた達は名乗ったのかい?」
「ぐっ、まだだ…。」
「呆れた。そっちのが中将のガープでこっちが元帥のセンゴクだよ」
「ガッハッハ!雑じゃのう!」
『改めまして真珠と申します。お世話になってしまい申し訳ありません』
「年齢の割にしっかりしてるじゃないか。男ばかりでむさ苦しいとは思うが、困ったら私んとこにおいで」
『ありがとうございますおつるさん』
同じ女性とということもあり、私にとっておつるさんの存在はとても心強い。やはり男性ばかりだと生活面での苦労もあるし、悩みを打ち明けることも出来ないのでおつるさんがいてくれて良かったと心から感じた。
「さて、君の処遇だが…正直決めかねている。言いたいことはわかるな?」
『はい…、』
「君の食べたウタウタの実は文献が少なくその力は未知数だ」
「今までにその能力を使ったことはあるのかい?」
『身を守るのに使っています。旅をしていると何故か絡まれることが多くて…。その時は眠らせて対処してます』
「他には?」
『傷を治すこと…くらいです』
「聞く限りでは害があるわけではないが…、その力がウタウタの実の全てとは限らん」
センゴクさんが何を言いたいかはわかる。ウタウタの実の能力は未だに未知数であるため、その能力の限界を知ることが必要だということ。
「君には悪いが、しばらくは海軍に身を寄せてもらう」
『はい………』
「しかしずっと部屋にいるのも気が滅入るだろう。この本部内なら好きなように利用してもらって構わん。護衛はつくがな」
『本当ですか…!』
「ああ」
『ありがとうございます…!』
部屋から出ていいというお許しが出たのは素直に嬉しかった。部屋で過ごすのはどうも窮屈で、そして退屈だったのだ。
「わしの孫にならんかのぅ!」
「あんたの孫じゃこの子が可哀想だよ」
「ガッハッハ!おつるちゃんも厳しいな!」
「煩いぞガープ!!」
一日でも早くここを出るために私は私の出来ることをしようと誓った。彼等の正義に反しないこと。きっとそれが一番の近道だ。
『しばらくお世話になります!』
この手に自由を。