天秤にかけて
綱吉率いるボンゴレのメンバーは次々に敵を倒していき、骸の元へと近づいていった。しかしその代償も大きく、山本は戦闘不能になってしまった。獄寺は柿本千種と対峙し、戦闘を開始する。そして綱吉、リボーン、ビアンキはやっと本物の骸の元へと辿り着いたのだった。
「また会えて嬉しいですよ。」
「ああ!君は!もしかしてここに捕まってんの!?…あ、あの人はさっき森で会った黒曜生の人質なんだよ。」
「ゆっくりしていってください。君とは永い付き合いになる。ボンゴレ10代目。」
「え?なんで俺がボンゴレって…?」
「違うわツナ!こいつ……!」
「そう僕が本物の六道骸です。」
「な…、はぁーーー!?」
綱吉は人質だと思っていた人物が本物の六道骸だとわかり、驚いた。そして、リボーンはあることに気づく。
「てめーの後ろにいるのは誰だ。」
「ああ、彼女ですか。彼女は…、」
「「「!!?」」」
「僕の可愛い人形です。」
骸のいるソファーの奥から一人の女生徒がゆっくりと出てくる。その姿を見て、綱吉、リボーン、ビアンキの三人は驚愕した。何故ならその女生徒は黒曜中の制服を身に纏った星影花莉だったから。
「星影先輩!あれ…でも目の色が…、」
「おや、顔見知りでしたか?」
「なんでてめーが花莉と一緒にいる。」
「アルコバレーノには関係のない話です。彼女とは以前に偶然僕と夢が繋がりましてね。手に入れたくなってしまったんですよ。」
「ちっ、厄介なことになったな。」
「リボーン!あれほんとに星影先輩なのかよ!目の色が青いけど…、」
「あれがあいつの本来の色だ。いつもはあの色を隠すためにカラーコンタクトを入れてたんだ。」
「ええ!?」
綱吉はいつもと違う雰囲気の花莉に驚きつつも、巻き込んでしまったことを悔やんだ。夢で繋がった、と骸は言っていたが、綱吉にはいまいち理解ができていなかった。そんなことを考えていると行方不明だったフゥ太が姿を見せた。しかし彼は骸のマインドコントロールによって操られている。ビアンキを骸の三叉槍で貫き、綱吉すら攻撃しようとした。苦しむフゥ太に対し、綱吉はお前は悪くない、とフゥ太が一番望む言葉を掛け、彼のマインドコントロールを解いた。綱吉は人を弄ぶ骸に怒りを向ける。しかし骸の攻撃に綱吉は為す術がなかった。骸の第三の道、畜生道の能力で綱吉は絶体絶命のピンチに陥る。
「ひいぃ!やめて!助けて!」
「あんまり図にのんなよ骸。俺は超一流の家庭教師だぞ。」
そうリボーンが言った直後、骸目掛けてトンファーが飛んでくる。骸はそれを簡単に弾いた。
「10代目…!伏せてください!」
「え!?…うわあ!!!」
綱吉の周りの蛇達は獄寺のダイナマイトによって爆破された。綱吉のピンチを救ったのは獄寺と雲雀の二人だった。彼等は千種と犬を倒し、ここにやってきたのだった。雲雀は獄寺と肩を組み、支え合っていたが借りを返したと判断し、早々に獄寺を捨てた。
「覚悟はいいかい?」
「これはこれは怖いですねぇ。だが今は僕とボンゴレの邪魔をしないでください。第一、君は立っているのもやっとのはずだ。骨を何本も折りましたからねぇ。」
「ヒバリさんそんなヒドい目に…!」
「遺言はそれだけかい?」
譲らない雲雀に対し、第四の道、修羅道の能力を使い戦いを挑んだが、雲雀も目にも留まらぬ速さで応戦する。
「君の一瞬っていつまで?」
「クフフ…少々侮っていました。それでは貴方には別の方法で屈してもらいましょうか。花莉、来なさい。」
『はい、骸様。』
「!!」
「星影先輩!!そんな!」
「何のつもり?」
「彼女はもう貴方のものではありません。僕のものになりました。」
「寝言は寝ていってくれる?」
「クフフ…事実ですから。花莉、彼は誰ですか?」
『存じません。』
「ほぅら。」
雲雀は目の前の花莉が操られていることはわかっていたが、自分のものに手を出されて穏やかでいれるほど出来た人間ではなかった。今すぐ骸を咬み殺したいが、まずは花莉をどうにかする方が先だった。このままでは彼女が怪我をしてしまう可能性があったからだ。
「花莉。」
『…。』
雲雀の声に花莉は反応を示さなかった。それどころか骸から三叉槍を受け取り、自分の首にあてがう。
「さぁ、雲雀恭弥、選んでください。貴方が膝を折るか、彼女が死ぬか。」
そう悪魔は嗤った。