想いに応えた力
「え…こ、この人…9代目…!?」
「そんな…なぜここに!?」
ゴーラモスカから出てきたのは、ボンゴレ9代目ボスのようだ。綱吉君は震えながら、この状況が掴めずにいた。リボーン君は救急箱を持ち、9代目に駆け寄った。リボーン君はゴーラモスカの構造を以前見たことがあったらしい。9代目はゴーラモスカの動力源にされていたという。
「ど…どーして!?」
「どーしてじゃ、ねーだろ!てめーが9代目を手にかけたんだぞ。」
「お…俺が…?あ…、」
リボーン君が9代目の傷を見るが応急処置で治る怪我ではないようだ。震える綱吉君にXANXUSさんは追い討ちをかける。
「誰だ?じじぃを容赦なくぶん殴ったのは。」
「!」
「誰だぁ?モスカごとじじぃを真っ二つに焼き切ったのはよぉ。」
「!!」
『…っ、』
聞いていられなかった。こうなったのは綱吉君の本意じゃない。結果的にこうなってしまっただけなのだ。
「お…俺が…9代目を…、」
「……ちがう…、悪いのは…私だ…、」
「9…9代目!!」
9代目は目を覚ました。だが危険な状態には変わりはない。9代目は綱吉君に優しく語りかけるように話し始める。こうなってしまったのは自分の弱さのせいだと。その弱さからXANXUSさんを永い眠りから目覚めさせてしまったのだと。
「眠りとはどーいうことだ?XANXUSは揺りかごの後、ファミリーを抜けボンゴレの厳重な監視下に置かれたはずだぞ。」
「ゆりかご…?」
「8年前に起きたボンゴレ史上最大のクーデターのことだ。」
そのクーデターの首謀者がボンゴレ9代目の実子、XANXUSさんだったようだ。その事実は機密扱いにされたという。
「XANXUSは…8年間止まったままだったのだ…、あの時のまま、眠り続けていたのだよ。恐ろしいほどの怒りと執念を増幅させて…、」
9代目は怪我のせいで吐血してしまう。9代目はリボーン君から綱吉君の話を聞いていたことを話した。そして、9代目は自ら、次期ボスに綱吉君を選んだことも。9代目は炎を灯した人差し指を綱吉君の額に当てた。しかしその炎はすぐに小さくなって消えていってしまう。9代目の手は力が抜け落ちていった。
「よくも9代目を!!9代目のこの卑劣な仕打ちは実子であるXANXUSへの、そして崇高なるボンゴレの精神に対する挑戦と受け取った!」
「な!!?」
「しらばっくれんな!9代目の胸の焼き傷が動かなぬ証拠だ!ボス殺しの前にはリング争奪戦など無意味!俺はボスである我が父のため、そしてボンゴレの未来のために、貴様を殺し、仇を討つ!!」
彼の狙いは、多くのファミリーから絶対的な信頼を得ること、そして真の正当後継者であることを証明することだったようだ。リボーン君の説明で、辻褄がやっとあった。ゴーラ・モスカの暴走は罠だったのだ。
9代目は、実の息子にその命を利用されたんだ。
『…………、』
「花莉…?」
悲しい。悲しくてたまらない。人の命を欲のために弄び、奪おうとした。この戦いで一体どれだけの人が傷つけばいいの。
気がついたら勝手に足が動いていた。ゆっくりゆっくりと綱吉君のそばに歩いていく。近づくたびにその悲惨さを理解できてしまう。機械の焦げた匂い、そして血の匂いが鼻を擽る。私は9代目の側にしゃがみこみ、そっと9代目に触れた。その瞬間、9代目の想いが私の中に伝わってくる。
「何のつもりだ、」
『…、』
「花莉先輩っ、泣いて、」
9代目から感じたのは誰よりも強い愛だった。この状況を招いたことに対しての罪悪感、綱吉君を守りたい気持ち、そして、息子であるXANXUSさんへの無償の愛情。9代目はこんなことになってしまっても、最愛の息子を助けてあげたいと望んでいるんだ。
もういい、もういいよ。もう誰も傷つかないで。もう誰も失いたくないよ。助けたい、この人を。このまま終わらせたくない。この人の想いが、XANXUSさんに伝わってほしいの。だから、お願い。私に力があるというならば、この人を助ける力をください。
今、目の前で失われようとしている命を助ける力をください−−−!!!
「!!!!」
「なんだ!?」
「花莉先輩の体が光って…、」
涙を流し、9代目に触れる花莉が光に包まれた。誰もがその輝きに目が眩んだ。
「おい、あいつの額…!」
「なんだあの紋章は!!」
花莉の額にはある紋章が浮かび上がっていた。それは彼女が星空の娘<フィリア・デッレ・シエロステッラート>である証拠。メテオーラファミリーの紋章だった。花莉はそっと9代目の傷に触れた。その行動に、XANXUSはピクリと反応する。
「!9代目の傷が塞がったぞ。」
「えっ、ほ、本当…!?」
それでも危険な状態であることは変わらないが、何とか9代目は花莉の力によって一命をとりとめた。そのことに安心したのか、花莉の体の光は小さくなり消えた。そして、花莉自身も倒れてしまう。
「XANXUS。そのリングは…返してもらう……。お前に9代目の跡は、継がせない!!」
花莉の想いを受け継ぐように、綱吉は決意をしたのだった。