散々な休日
何故だ、何故こうなった。私はただ、久しぶりに手にした休日を満喫しようとショッピング来ただけなのに、何故、
「…、」
『…、』
胸を掴まれているの。
***
今日は久しぶりに風紀委員の仕事で学校に行かなくてもいい日だった。素晴らしい日曜日だ。胸を躍らせてショッピングへ向かった。洋服を買い、美味しいスイーツを食べて休日を満喫していた。
イヤホンを付け、大音量で音楽を聴きながらお店で本を読んでいると、何かがおかしいことに気付いた。先程まで満席になってた店はガランとしていて、客どころかお店の人まで居なくなっていた。一体どうしたのかと思いイヤホンを外すと、店の外で爆発音がしていることに気付いた。
『嘘でしょ…私逃げ遅れた!?』
お店の人も見捨てないでよ!!と思いながら荷物を持ち、外へ出た。何が起こっているのかわからない。とにかく逃げなければならないと思い、走り出したが、その直後に爆発に巻き込まれた。爆風で体が傾き、立っていられなくなる。煙の中に人影が見えたので、すぐに立ち上がって助けを求めようとした。
『あのっ、助けてくださ、』
「う"お"ぉい!!そこかぁ!!」
むにゅり、と胸に違和感を感じる。その違和感に思わず体がピタリと止まった。煙がだんだん消えていくと、私が話しかけた人影は片方に剣を持っている長髪の男性だった。
「…、」
『…、』
何故こんなことになってしまったのかはわからない。だが一つだけは言える。私は今、この人を殴っていいだろう。
『いっ、いやぁぁあああ!!』
右手を振りかぶって思い切り彼の頬を平手打ちした。パァンと乾いた音が清々しいほどに鳴り響く。私は両手で隠すように胸を覆い、男性を睨んだ。
「なっ、おま、」
『もうお嫁にいけない…っ、こんな知らない人に汚されるなんて……っ!!』
「う"お"ぉぉい!!!待てぇ!!その言い方はやめろぉ!!」
爆発に巻き込まれ、知らない男性に胸を思い切り揉まれるなんて散々な休日だ。これならまだ学校で風紀委員の仕事をしているほうがマシと言ってもいい。
「ちょっと待ってろぉ!!」
長髪の彼は何処かへ向かって走っていった。その方向を見てみると、綱吉君と似た人が見えたような気がした。爆発の煙でよく見えないが。また彼の知り合いなのだろうか。知り合いにしてはとてもいい雰囲気とは言えない。
「あいかわらずだな、S・スクアーロ。子供相手にムキになって恥ずかしくねーのか?」
「ディ…ディーノさん!」
「!跳ね馬だと!?」
綱吉君の前に現れたのは金髪の男性だった。私はその金髪の男性に見覚えがあった。喫茶店で会ったディーノさんだ。あの人も綱吉君の知り合いなのだろうか。様子を見ていると長髪の人に綱吉君が頭を掴まれ、ピンチのようだった。それをディーノさんが助けようとするがまた爆発が起こる。あまりの驚きに腰が抜けて立てないでいると、何故か私の体は宙に浮いた。
「貴様に免じてこいつらの命はあずけといてやる。だがこいつはいただいてくぜぇ。う"お"ぉい。」
『え、ちょ、』
「な、」
「ああっ、ボンゴレリングが…、それに何故一般市民まで!」
「花莉先輩!?なんで!?」
「花莉!?花莉なのか!?」
「知り合いかぁ!?こいつには借りがあるからなぁ!じゃあなぁ!」
『ひゃあああっ!?』
何故か私は米俵のように担がれて、そのまま何処かに運ばれた。綱吉君とディーノさんが信じられないという顔をしたけどその顔を一番したいのは私だった。なんだ、私は一体どうなってしまうんだ。
***
「ここでいいかぁ。」
『ふぎゃっ、』
なんだかよくわからないビルの屋上に雑に降ろされた。そんなに高くないビルだ。一体私は何のために連れてこられたのだろうか。
「う"お"ぉぉい!!!女ァ!」
『ひっ、』
「さっきは、悪かったなぁ。」
『む、胸を思い切り揉んで私の体を汚したことですか…?ああ、お嫁にいけない…、』
「だからその言い方はやめろぉ!!わざとじゃねぇ!!だいたいてめぇがあんなところにいるのが悪ィんだろーがぁ!」
『責任転換ですか!それでも男ですか!そこは俺が嫁に取ってやるくらい言えなきゃ男じゃないですよ!!』
「てめぇ三枚におろされてぇかぁ!!」
ムキになって起こる長髪さんは私に剣の切っ先を向けた。
「そういやぁ、あいつらはてめぇのことを知っていたなぁ。どんな関係だぁ!」
『同じ学校なんですよ!!ほら!見てくださいこれ!!並盛中3年、星影花莉ですどうぞよろしく!!』
「なに自己紹介してんだぁ!いるかぁそんな情報!!」
学生証を見せたら思い切り床に叩きつけられた。ああ、私の学生証が…。私は学生証を拾い、肩掛けのポシェットにしまう。
「跳ね馬もてめぇのことを知ってたじゃねぇか。」
『跳ね馬ぁ?なんですかそれ。』
「…その呼び名は知らねぇのか。まぁいい。花莉と言ったなぁ!」
『え、あ、はい花莉です。』
そう返事をすると彼はズカズカと私のすぐそばまで寄ってきた。そして手首を掴まれ、思い切り引き寄せられる。
「どうしても嫁に行けなかったら俺が貰ってやる。」
そう囁いた彼は私から離れ、何処かへ行ってしまった。私はぽかんと口を開けて、彼が消えていった方をしばらく見ていた。
『あ、余ったらもらってやるってこと…?…このっ、絶対嫁に行ってやるんだからぁあああ!!』
私の謎の決意表明は、夕暮れ時の空へと消えていったのだった。