メーデー、星のお姫様
長髪の人に攫われて数十分後に、ディーノさんの部下の人達が迎えに来てくれた。事情を聞かれたので腹いせに"彼に破廉恥なことをされかけて汚された"と言ったらドン引かれて、可哀想な目で見られた。そのままスイーツをくれて家まで送ってくれた。しかし私は次の日になっても腹の虫がおさまらなかった。
「何苛立ってるの?」
『委員長聞いてくださいよ。全然知らない人に将来余ったら嫁にもらってやるって言われたんです。余計なお世話ですよね。』
「そんなことで怒ってるの?」
『そんなことってなんですか。大事なことですよ。』
「絶対余らないから大丈夫だよ。」
『えっ、それってどういう…、というかさっきからなにをいじってるんですか?』
「指輪。置いてあった。」
そんな話をしているとノックもせずにドアがガラリと開いた。誰だそんな命知らずなことをするのは、と思いドアの方を見ると中に入ってきたのはディーノさんだった。
「お前が雲雀恭弥だな。」
「…誰……?」
「俺はツナの兄貴分でリボーンの知人だ。…って、花莉!?なんでここに、」
『お久しぶりです。ディーノさん。昨日はディーノさんの部下の方に送っていただきました。ありがとうございました。』
「お、お、お前…スクアーロに破廉恥なことされたって…、」
『ちょ、今それ言わないでください!』
「その話、聞いてないんだけど。」
『ひぃっ!なんでもないです!こっちの話です!!』
トンファーを構え始める委員長から思わず距離をとった。どうやらディーノさんは大事な話があるようだったので私は逃げるように応接室を後にした。
***
「あっ、花莉姉!」
『フゥ太君、こんにちは。』
「えへへ、こんにちは。」
放課後、委員長が手を離せないようだったので並盛町の見回りを行なっていた。するとフゥ太君に偶然出会った。彼は私にとても懐いてくれていた。リボーン君曰く同じ匂いがするのではないかとのことだった。私としても悪い気はしなかった。兄弟がいない私には弟ができたような感覚だ。
「あのね、今日ね、」
『うんうん。』
色んなことを話そうとするフゥ太君がとても可愛らしかった。どうやらフゥ太君が居候している綱吉君の家に、綱吉君のお父さんが久しぶりに帰ってきたらしい。とても気さくなお父さんでたくさん遊んでくれるから嬉しいと話をする。
「あのね、花莉姉。」
『うん?』
「これから星の世界に大きな試練が待ってるんだって。」
フゥ太君は遠い星と交信ができる不思議な能力を持っている。きっとその話をしてくれているのだろう。不安そうな彼と目線を合わせるようにしゃがんだ。
「星のお姫様はそれに立ち向かわなきゃいけないんだ。」
『お姫様が立ち向かうの?』
「うん…、僕ね、お姫様を守りたいんだ。でも、僕には守る力がないから…、」
そう言って俯くフゥ太君をそっと抱きしめた。すると彼は遠慮がちに私の服を掴んだ。
『きっと、その気持ちがあれば大丈夫だよ。お姫様にもその気持ちが届いていると思う。』
「本当…?」
『うん、お姫様のこと一緒に応援しようね。』
「!!うんっ…!」
パァっと明るくなったフゥ太君を私は家まで送り届けた。バイバイと手を振るフゥ太君がとても可愛らしく癒された。さぁ、戻ろうと沢田家に背を向けるといつのまにか私の背後に人が立っていた。
「よぉ、お嬢さん。フゥ太を送ってくれたんだな。ありがとさん。」
『い、いえ…あ、綱吉君のお父さんですか…?』
「お、こんな可愛らしいお嬢さんに知られているとは嬉しいねぇ。」
『フゥ太君が嬉しそうに話していたので。じゃ、じゃあ失礼します。』
私はそそくさとその場を離れようとした。すると、綱吉君のお父さんはお嬢さん、と言って私を呼んだ。
「苦労をかける。」
『?は、はぁ…。』
苦労をかけ"る"?かけ"た"ではなくて?綱吉君のお父さんのよくわからない言い回しに疑問を抱きながらも、今度はまっすぐ並盛中へと戻った。
「君には辛いことばかりかもしれない。だが、乗り越えなくてはならないんだ。星空の娘<フィリア・デッレ・シエロステッラート>。」