おやすみ、僕の星

『私が…私が殺した…、私が…、』

花莉はまるで何かに取り憑かれたようにボソボソと呟き、ベッドの上で膝を抱えて座っていた。両親が死んだ理由、そして目の前で骸を失ったことで心が限界を迎えていた。その目はすでに光を失い、目の下には、くまができている。白蘭はただただ、花莉が壊れていく様子を見ていた。

「もうダメだね。」

白蘭自身、花莉の心が壊れてしまった方がユニ同様扱いやすいと考えている。他の世界でも同じことをして花莉を手に入れていたし、一番手っ取り早かった。花莉の心はとても弱く、繊細だった。心を壊すのは容易い。じわじわと追い込んで壊す、それが白蘭のやり方だ。しかし、今回はなんだか面白くないと白蘭は感じていた。追い込んだのは確実に自身の言動というのはわかっている。しかし過去の時代の花莉は初めてであり、表情をコロコロと変える彼女を見ているのは悪くなかったと感じている。追い込んでいる時は楽しめたが、壊れてしまったらそれはそれでつまらないのだ。

「なんで僕がこんな気持ちになってるんだろうね。笑っちゃうよ。」

自嘲気味に笑う白蘭は、膝を抱えている花莉を抱きしめた。彼はその小さな体に愛おしさを感じていた。

「ユニちゃんも、花莉ちゃんも手に入れた。おしゃぶりも半分以上は手に入れたし、あとはボンゴレリングだけだ。だからもう、」

白蘭は花莉の目をマーレリングをはめた自らの手で覆った。すると花莉はゆっくりと後ろへ倒れていく。

「おやすみ、花莉ちゃん。」

花莉の体はベッドへと倒れた。白蘭は花莉の固く閉じられた瞳から流れる涙を指で掬い、額に口付けを落とした。

「目を覚ましたら、きっと全部終わってるから安心して眠ってね。」