デッドレースの始まり

「白蘭様、ユニ様と花莉様を連れ戻すための攻撃許可を。」

「………うん。」

その言葉を待ってましたと言わんばかりにスクアーロさんが攻撃を仕掛けた。鮫と一緒に暴れまわる彼はどこか生き生きとしている。隣の委員長はムッとしているけれど。

私達は超炎リング転送システムを目指して走り出した。敵の攻撃が迫ってきたが、隼人君が防いでくれる。隼人君にそこを任せて、私達は再び走り始めた。

「見て!!転送システムよ!あれに炎をぶつければ!!」

頭上を見上げればゼンマイのような機械が浮かんでいる。皆はあの装置でここに来たようだ。ハルちゃんや京子ちゃん達は中に入る。

「花莉先輩も…!」

『でも委員長が…!』

「あっ!」

「来ました!」

後ろを振り向くと鮫に乗ったスクアーロさんと隼人君、そして委員長の姿があった。彼等もこちらへ追いついた。しかし白蘭さんが物凄い勢いでこちらへと迫っている。

「誰が相手だろうと、僕を止めることはできないよ!」

「あっ、」

「クフフフフ…それどうでしょうねぇ。僕に限って。」

『っ、骸君…!!』

「…骸様、」

私達を守るように現れたのはあの時死んでしまったと思った骸君だった。生きていた、彼は生きていたんだ。そう思ったら涙が溢れて止まらなくなっていた。

「む、骸ーーー!?」

「骸様の…有幻覚…、」

「あれが!?」

骸君と白蘭さんが激しくぶつかり合う。そして、白蘭さんの足下から大きな火柱が立った。しかし、白蘭さんには何も効いていない様子だ。

「僕の部下に憑依した君は、あの時花莉ちゃんの前で精神ごと消したはずなんだけどな。少なくともこんな幻覚はもうつくれないほどにね。」

「クフフフフ。たしかにあなたの策略にはまり密閉された空間に閉じ込められた時はもうダメかと思いましたよ。…1人でしたらね。」

「ん!あっ、そっかー。お仲間に外から穴を開けてもらったのね。」

骸君はさらに何本もの火柱の中に白蘭さんを閉じ込め、蓮の蔓で彼の体を拘束するが、白蘭さんは余裕の表情をしていた。骸君はどうやら10年間ずっと牢獄にいるようだ。光も音も届かないあの場所で10年もいるなんて、

「さあ、大空のアルコバレーノと花莉を並盛町へ連れて行くのです。沢田綱吉。」

「骸…!」

「ツナ!ここは骸に任せた方が良さそうだ。」

「でも…骸様!」

「骸!!また会えるのか!?」

「当然です。僕以外の人間に世界を取られるのは面白くありませんから。いいですか?沢田綱吉。絶対に大空のアルコバレーノ、ユニと星空の娘、花莉を白蘭に渡してはいけない。」

「黙って♪」

『骸君!!』

骸君は胸のあたりを白蘭さんの手によって貫かれた。骸君は私を見て微笑む。

「花莉、もう泣かなくていいですよ。必ず会いに行きますから。」

『…!約束だよ…っ!!』

「ええ、約束です。さあ早く転送システムに炎を。」

「わ、わかった…、クローム!み…みんな!」

私は委員長に腰を抱かれた。私は委員長に捕まり、ぎゅっと目を瞑る。骸君、ありがとう。

***

「うまく逃したつもりだろうけど、意味ないな骸クン。綱吉クン達の寿命はほんのちょっと伸びただけだよ。」

「僕はボンゴレファミリーを助けたかったわけじゃありませんよ。大空のアルコバレーノと花莉があなたの手に渡らなければ充分です。」

「わかってるような口ぶりだね。」

「クフフ、」

「まっ、いいや。ユニちゃんと花莉ちゃんはどんな手を使っても手に入れるから。君の嫌いなマフィアらしいやり方でね。君が牢獄から出てこれたら、君の死体の前で花莉ちゃんを抱いてあげるよ。」

白蘭は骸の有幻覚を跡形もなく消し去り、バイバイ、と吐き捨てた。その後、真6弔花の5人が白蘭の元へと追いつき、跪く。するとすぐにブルーベルが、何故ユニと花莉を殺さないのかと文句を言った。

「やだなーブルーベル。ユニちゃんと花莉ちゃんを殺すなんて。次言ったら、殺す。」

白蘭の笑みが消え、今にも人を殺しそうな表情を見て、ブルーベルはあまりの恐怖に震えた。そんな様子を見て、桔梗は何故ユニと花莉に拘るのかと白蘭に問う。

白蘭は今いる世界以外の全ての世界で73をコンプリートしていた。白蘭を新しい世界の創造主にしてくれるほどの力を発揮してはくれないようだった。だが、白蘭は今日、光り輝くおしゃぶりを見て、73を覚醒させるためには魂をともなったユニとステラリングを持ち、心が壊れていない覚醒した花莉が必要なのだと確信したのだ。

「彼女達を手に入れ、73のナゾが解ければこの世界だけじゃない。全パラレルワールドの扉は開かれ、僕は超時空の創造主になれるんだ。この際何故ユニの魂がボンゴレなんかを頼りに今この世界にひょっこり戻ってきたなんてどーでもいいや。」

白蘭はマシュマロの袋から沢山のマシュマロを握りしめ、口へと運んだ。まるで、獣のような目をしながらマシュマロを食す。

「欲しい…、あの娘達が…、わかったらさっさと追おうね♪…一刻も早くユニと花莉を奪え。」