その羽は覚悟の証

「トリカブト、ユニ様を任せましたよ。私は花莉様をお連れしますから。」

『っ、』

桔梗さんと対峙したが、私に勝ち目はあるのだろうか。きっと逃げることはできない。ユニちゃんは綱吉君が守ってくれている。私は自分で自分の身を守る。今はきっと私が出来る最大のこと。

「哀しき者よ。」

トリカブトさんは胸に埋まる匣に炎を注入する。すると彼は蛾のような姿になった。

『!』

景色が回り、上も下も分からなくなってしまった。これがどうやら彼の能力らしい。まずい、このままじゃ、

「今の貴女を連れて行くことは蟻を殺すことより容易いですよ。」

『近づかないで…!』

頭がぐらぐらする。気持ち悪い。彼が迫ってきているのに。私は揺れる視界に頭を抱えた。

「花莉!!」

「さぁ、捕まえましたよ。」

桔梗さんに腕を掴まれ、引き寄せられた。逃げようと試みるが、いつのまにか植物の蔓が体や羽に巻きついて動けない。

『ん、ぐっ、』

「暴れれば暴れるほど食い込んでいきますよ。」

『うっ、あああ…!』

ぎちぎちと私の体に食い込んでいく蔓。痛くて苦しい。でも、嫌だ。このまま何も出来ないなんて嫌。もうとっくに覚悟なんて出来てる。

覚悟を、炎に−−−!

「何っ!?」

「花莉先輩から炎が!!」

ステラリングには私の星空の炎が灯る。それはだんだんと大きくなっていき、私自身を包み込んだ。炎によって体に巻きついていた蔓は燃え、桔梗さんも私から距離をとる。

「まさか自ら炎を灯せるとは思いませんでした。貴女はデータによると戦いは未経験だそうですね。他者を傷つけることができないとも聞きましたが…、」

『自分の身くらいは…っ、自分で守ります…!』

「ほぅ、ただのか弱い天使ではなさそうですね。…!」

『!幻覚が…!』

上も下も分からなかった景色が、だんだんと戻っていく。幻覚が解けて、景色も回ることはなくなった。これで平衡感覚が戻ってきた。きっと綱吉君が押しているのだろう。

「まさかトリカブトが押されるとは。ああもサポートされては…、とっとと貴女だけでも奪った方が良さそうだ。」

彼もマーレリングに炎を灯し、私の炎を相殺して行く。怯みそうになったけれど、気持ちで負けたらきっとダメだ。私は炎にリングを灯し続けた。

「花莉、よく頑張ったな。」

「!!」

『リボーン君!!』

リボーン君はイルカに乗り、桔梗さんに対し発砲する。

「ボンゴレファミリーの強さは個々ではなくファミリー同士の連携にある。」

「アルコバレーノ!!」

「その通りだ!仲間のピンチの時こそ!!俺のリングは極限に燃える!!」

『笹川君!!』

私を守るようにして、リボーン君と笹川君は立ちはだかった。2人がいる心強さにやっと安心できた。一方綱吉君はX BURNERを撃ち、トリカブトさんを倒した。それを見た桔梗さんとブルーベルさんはその場を立ち去って行く。

「うぐっ、」

『笹川君!しっかり…!』

傷だらけの笹川君は相当無理をしてここへ来てくれたようだった。私は彼を支え、地上へと降り立つ。今の戦いで多くの仲間が傷ついていた。

「お兄ちゃん…!!」

笹川君に駆け寄る京子ちゃんは泣きそうだった。地上では獄寺君やバジル君、他の人も怪我をして倒れている。真6弔花が残した爪痕は思ったよりも大きい。

「花莉様!」

『ユニちゃん、無事で良かった…、』

「悪かった…、姫を優先してあんたを助けられなかった…。すまない。」

『だ、大丈夫です…!助けてくれてありがとうございました。』

ユニちゃんを助けた男の人は私に頭を下げた。きっとこの人はユニちゃんの大切な人なのだろう。私は頭を上げるように言って、怪我人の元へ向かったのだった。