送り出す背中
太陽が昇り、夜が明けた。戦闘に参加する者はそれぞれの配置につき、真6弔花の襲撃を待っている。そしてついに、戦闘が始まった。隼人君のいる地点で爆発が確認できた。隼人君の地点には他にラルさんとγさんがいる。ラルさんと隼人君は傷を負っているが、大丈夫だろうか。
「花莉様、」
『っ、』
「信じましょう。皆さんを。」
そっと私の手を握るユニちゃんの手は思ったよりもずっと小さかった。ユニちゃんの大切な人達だって戦っているのに、彼女は気丈に振舞っている。私の方が年上なのだから狼狽えてはいけない。不安なのはきっと皆そうだ。私が信じなくてどうする。
『うん…!』
「獄寺君達の地点の戦闘が激しくなっている!!…!獄寺君!?」
綱吉君は隼人君と無線が繋がっているようだ。そしてどうやら隼人君達の元にはXANXUSさん率いるヴァリアーが援護に来てくれたらしい。心強い味方だった。そして、了平君、ランボ君、バジル君、太猿さん、野猿君がいる湖の地点も戦闘が激化している様子だ。
『…!』
「!!」
私と綱吉君、そしてユニちゃんは同時に何かを感じ取った。気のせいじゃない。確実に何かが起こったのだ。
「花莉姉!何か光って…!」
『!!』
フゥ太君に言われて自分のスカートをすぐに確認した。スカート越しでも光っているのがわかる。それは骸君の三叉槍のカケラだ。何かに応えてるように、それは優しく光っていた。
『骸君………いるの………?』
「ツナ兄!見て!!ヴァリアーとザクロ、ブルーベルの戦いがどんどん激しくなってる!!」
「本当だ!一体どんな戦いを…、」
「ヴァリアーは超精鋭だ。この地球上で最も強い暗殺部隊だろう。だが相手は人間を超えた真6弔花…、どっちが勝っても不思議じゃねえな。」
ヴァリアーは強い。それは綱吉君が身を以て知っている。だけど、真6弔花は簡単に倒せる相手ではないこともわかっていた。少しすると、綱吉君の元に無線が入る。それは戦場に本物の骸君が現れたという知らせだった。
「骸の奴、言ってた通りに脱獄しやがったな。」
『やっとあの場所から…!』
「う…うん。やっぱりすごいよ…あいつ…。」
「すごいのは沢田さんです。」
「へ?」
「山本さん達もここに向かっています。」
「え?山本も!?」
「ボンゴレの守護者全員がボスであるあなたの元に集まっているんです!」
そんな喜びも束の間だった。戦闘がさらに激化している中、戦場にはGHOSTと呼ばれる炎を吸いとる真6弔花が現れたらしい。リングの炎も匣兵器も通用しないという。綱吉君は迷っていた。ここに残るか、皆のそばに行くかを。
『綱吉君。』
「!…花莉先輩。」
『大丈夫。私達は大丈夫だから。』
「沢田さん。行ってください、リボーンおじさまもついています。」
「花莉先輩、ユニ、ありがとう。」
綱吉君はハイパー化して、炎を灯した。何度見ても、その炎は澄んでいて美しかった。
「用心しろよ。GHOSTは炎も匣も通用しねぇ相当やべぇ敵だ。」
「沢田さん…お願いします。」
「ああ、」
「ツナ君!」
「ツナさん!」
「「いってらっしゃい!」」
京子ちゃんもハルちゃんも思っていたよりもずっと強くなっていた。行って欲しくない気持ちをグッと押し込めて、背中を押すその2人の姿は凛々しい。
『綱吉君、』
「花莉、行ってくる。」
『…うん、行ってらっしゃい…!』
綱吉君は戦場へと向かった。少しするとアジトから戻ったビアンキさん達が私達の元へ合流する。綱吉君の向かった方向から凄まじい音と光が確認できた。何が起こっているのかわからない。皆は無事なのだろうか。
『皆……っ、』
この戦いはもう終わりへと近づいている。どうか、負けないで。そう祈るように私は手を合わせた。