真覚醒

「【それが貴女の答えなのですね。】」

頭の中で声が聞こえた。体の奥底から何かが湧き上がってくるような、そんな感覚だった。

「【私達の使命は、暗く寂しい夜空を照らし、その光でファミリーを導く星となること。きっと貴女なら大丈夫。自分を信じて。】」

ステラリングが輝きを増し、私の目の前に杖のようなものが現れた。こんなにも心強い気持ちになったことなどない。私はその杖を手に持つと、今までの炎とは違う、純度の高い星空の炎が宿った。

「今までとは炎の純度が違うね花莉ちゃん。一体どういうことかな?」

「真覚醒です。」

「真覚醒…?」

「元々、星空の娘の覚醒は3段階あります。半覚醒、覚醒、そして真覚醒。大空のアルコバレーノの試練を乗り越えた花莉様は、初代以来の真覚醒を遂げました。今の彼女は神の使者と謳われた初代に一番近しい存在となったのです。」

「!!…そうか、ハハッ、そういうことだったんだ!!こんなところに隠しアイテムがあったなんて!!!アハハハッ!」

『…。』

「花莉ちゃん、僕のためにこんなサプライズをしてくれるなんてね。さぁ、僕のそばにおいで!!君はやっぱり僕を創造主にしてくれる女神様だったんだ!!」

欲に溺れ、その光を掴もうとする白蘭に対し、花莉は杖を構えた。

「へぇ、僕と戦うつもり?」

『白蘭さんを倒すのは、私じゃありません。』

「何言ってるの?もうアルコバレーノも僕を倒してはくれない。」

「その通りだ。お前を倒すのはアルコバレーノじゃねぇ。俺の生徒、ツナだ。」

リボーン君は綱吉君が白蘭さんを倒すと断言する。そして、死ぬ気で戦っているのは綱吉君だけでなく、ユニちゃんも命を捧げるつもりだと言った。アルコバレーノの復活にはユニちゃんの命が代償になることをリボーン君は知っていたのだ。

「ふーん。そんなバカげたことますますやめさせなきゃね。ユニちゃんの命は僕のためにあるんだもん♪…さあ。」

「げほっ、…がはっ、うう…、」

「沢田さん!」

『綱吉君!!』

「アハハ、綱吉クンてば本当にリボーンクンの叱咤激励で起きちゃったよ。すごいコンビだなあ君達。」

「ユ…ユニは…お…お前に…わたさ…ないぞ…、」

綱吉君の体も精神も限界を迎えていた。彼の体は震え、死ぬ気モードもとけている。そんな中で白蘭は綱吉君の今までの不運を笑った。

「こんなところに連れてこられなければこんなひどい目に遭わなかったって、自分の運命を呪っちゃうだろ?んね♪」

「…いいや…それは…少し…ちがう気がする…。」

綱吉君は運命なんて呪っていなかった。未来では怖いことや痛いこと、不安なことばかりだったけれど、それは全部大事な自分の時間だと気づいたのだ。彼の言葉を聞いて、胸の奥が熱くなった。一緒だ、私と綱吉君は一緒なんだ。

「へー君は変わった物事の捉え方をするねー。でもよーく考えてみてほしいな。殺されちゃったらそんなの負けおしみだよ♪」

白蘭さんは鋭いナイフのようなものを持ち、綱吉君を今度こそ殺そうとしていた。隼人君は結界に攻撃するが、結界が壊れることはない。

「んん、そーだなあ。今の綱吉クンならこのミニ白龍を心臓に一突きすれば充分♪」

「ひいっ、まっ、待って!!」

「待たないっ!」

ナイフは一直線に綱吉君の左胸に突き刺さり、彼は倒れていった。誰もが絶望し、彼の名前を呼んだ。

「さあユニちゃん花莉ちゃん、君達の救世主はいなくなったよ。」

『綱吉君…っ、』

私がそういった直後、綱吉君の倒れる地面に、メテオーラの紋章が浮かび上がり光を放った。

「いっ…いってー!!」

「!」

「ガハ…ゴホッ…、」

綱吉君は起き上がり服を破って、あるものを手に取った。ミニ白龍が刺さったのは彼の心臓ではなく指輪だったのだ。

「こ…、このリングは…!…ランチアさん!!」

「首に巻いたリングに助けられただって?それにあの紋章…、何をしたのかな花莉ちゃん。」

『私はリボーン君と約束をしました。それは白蘭さんと綱吉君の戦いに一切手を出さないこと。それを守った上で、私は自分の運を少しだけ彼に分け与えたんです。』

「もしかして昨晩の…!!…やっぱり…そうなんだ…俺は全部に支えられてる…。この未来にきて、なくてよかったものなんて一つもないんだ。辛いことも苦しいことも…楽しかったことも…そしてみんながいたから俺は…ここにいるんだ…。」

『綱吉君…、』

「未来で手に入れた技も武器もただじっとしてたら完成しなかったし、みんながいなきゃ完成しなかった…。俺…不運どころか…ついてるよ…。みんなと未来にいた時間は俺の宝だ…。俺の炎はお前が支配するこの時代だからこそ生まれたみんなの炎だ!!むやみに人を傷つけるために倒されることを後悔しろ!!」

綱吉君の強い意志に、再び死ぬ気の炎が額に灯った。

「ハハハ!いい気分のところ悪いけど何の解決もしてないよ綱吉クン!結局僕と君の力の差は君が倒された時から何も変わってない!!」

「【どうだろうな。】」

『!!』

ステラリングが熱くなり、光り始める。そしてステラリングだけではなくボンゴレリングも私のものと同じ状態になっていた。彼らのボンゴレリングの光から人が映し出されていた。私は彼等を知っていた。試練の記憶で見たことがある。

「【あの子、言ってることがボスと同じだ。】」

「【血は争えないでござるな。】」

「【究極にいい奴ではないか。】」

「【残念です…、ボンゴレに不要な軟弱な思考ですよ。】」

「【興味ないな。】」

「【てめえの好きにすりゃあいいさ。いつものようにな。】」

彼等はボンゴレファミリーの初代守護者達。そして…、

「【そうだな……G。X世よ…お前の考えに俺も賛成だ。俺の真の後継者に力を貸してやりたいがあいにくそれはできない。】」

綱吉君のグローブから紋章が浮かび上がり、ある男の人が現れた。それは綱吉君よく似た男の人。

「【そのかわり−−−、枷をはずしてやろう。】」

『ボンゴレ………T世…。』