燃えた命の炎
白蘭さんからはどす黒い翼が生えて、まるで悪魔のように見えた。戦闘が激化していく中、ユニちゃんは全身から大空の炎を出し、おしゃぶりに命を捧げようとしていた。
「おしゃぶりへの炎の供給が本格的に始まっている…。本気なんだねユニ…、本気でおしゃぶりに命を捧げて死ぬ気なんだね!」
「ユニ!?」
『ユニちゃん!!私の炎を使えば命を捧げなくても…っ!!』
「いいえ、おしゃぶりには純粋な大空の炎が必要なんです。ありがとうございます花莉様。」
『そんな…っ、』
どうしてこんな肝心な時に役に立たないの。このままじゃ本当にユニちゃんが死んでしまう。
「我々も手をこまねいてはいられません。結界を破り、ユニと花莉を脱出させるのです。」
「ああそうだな!ユニがどうするにせよあそこにいるのは危険すぎる!」
「だがよっ、この結界は…ビクともしねーぜ!!」
外部から大空の結界を破壊しようと、全員が攻撃をするが、どうにもならなかった。
「花莉、お前も内側から攻撃できるか?」
リボーン君の目は本気だった。攻撃、と言われて誰かが傷ついてしまったらどうしようと不安になった。でもそんなことは言ってられない。今はとにかくユニちゃんの安全が第1なのだ。
『やってみる…!』
そう返事するとリボーン君はニッと笑う。私は杖を構えて、その時を待った。ユニちゃんの様子を見ると、彼女の大空の炎が段々と小さくなっていく。ユニちゃんは死を恐怖しているのだ。当たり前じゃないか。彼女はまだ子どもなのだから。それでも彼女は炎の供給をやめない。
「よし!いまです!!」
「すべての匣兵器の炎が雨イルカに!」
「全匣兵器での匣コンビネーションシステムだ!!」
「あの炎と花莉の力なら結界を破れるかもしれねーな。」
「よし、いこうアルフィン!花莉様!行きます!!」
『はいっ!!』
すべての炎を宿した雨イルカとバジル君が結界に向かって突っ込んでくる。その勢いは凄まじく、私はグッと杖を強く握りしめた。星空よ、どうか私に力を貸して。
「スーパー・ノヴァ・オーシャン!!」
『
内側と外側から攻撃により、ついに結界にヒビが入るが、破壊とまではいかなかった。わずかなその隙間から、γさんが結界の中へと入ってくる。
「よお姫。」
「γ!!」
「やっと会えたのにまたすぐいっちまうなんて水くさいぜ。俺の炎も使ってくんねーか?」
γさんはそう言ってユニちゃんの小さな体を抱きしめた。
「あんたを1人にはさせない。」
「!」
γさんはユニちゃんと共にその命を捧げようとしていた。それはγさんの覚悟で、誰にも止めることなどできない。涙を流すユニちゃんに対し、γさんは何かを耳打ちする。そしてついにその瞬間がやってきた。最期とは思えないくらい穏やかで幸せそうに笑う彼女は、大切な人と炎に消えた。
残されたのは彼女達の服と、おしゃぶりだけだった。
『やだ、そんな…っ、ユニちゃん!γさん!!』
彼女達が"いた"場所に駆け寄り、奥歯を噛みしめる。するとすぐに綱吉君もそばに来て、ユニちゃんのおしゃぶりを手に取る。
『綱吉君…っ、ごめん、ごめんなさい…っ、何も出来なかった…っ、』
悔しい、何も出来なかった自分がどうしようもないくらい情けない。どうして彼女達が犠牲にならなければならないの。本来彼女達には未来があったはずなのに。拳を握りしめて涙を流していると、ふわりと綱吉君に抱き寄せられた。優しいけど、その手には力が込められていた。
「ねぇちょっと…、何してくれてんのさ?やっと見つけたパズルの最後の1ピースが死んじゃったよ…。すべておじゃんじゃないか…、73を覚醒させ時空を超えた覇者になる僕の夢は…、君達のくだらないお友達ごっこのせいで散ったんだ…。この意味が…わかっているのか!!…ぐあっ!!」
「誰がユニを殺したと思ってるんだ。お前がこんな世界にしたからユニは…死んだんだ!!花莉が涙を流すんだ!!俺はお前を許さない!!白蘭!!」
綱吉君は、うっすらと涙を浮かべていた。白蘭さんはユニちゃんを人間として扱うことはない。自分を神にするスーパーアイテムだと言ったのだ。白蘭さんは足から根のようなものを出し体を固定した。そして、綱吉君もX BURNERを撃つ準備をする。
「花莉、」
『大丈夫、自分の身は自分で守るよ。私のことは気にしないで。』
そういうと彼は頷き、私から手を離す。私は綱吉君から離れた場所に移動し、杖を構えた。全身から星空の炎を出し、身を守る。
「まったく無意味なことをしてくれた!!あのおしゃぶり付きの人形は僕に最高のオモチャを与えてくれたのに!!」
「それ以上ユニを侮辱するな!!白蘭お前だけは!!」
2人の凄まじい炎に結界が限界を迎えている。私は衝撃に備えて身構える。目をそらしてはいけない。見届けるんだ。この物語の結末を。
「消えろ!!」
「くらえ!!」
「らああああ!!!」
「うおおおお!!!」
白蘭さんの攻撃と綱吉君のX BURNERがぶつかり合う。その力は綱吉君が上回り、綱吉君の炎に白蘭さんは包み込まれた。
「うぎゃあああ!!!」
散っていく白蘭さんを見て、涙が流れるのはどうしてだろうか。彼の記憶を見た時に、今までどれだけの命を奪ってきたのか知ったはずなのに。あんなにひどいことをしてきた人なのに。
どうしてこんなにも悲しいの−−−。
最期を迎えた彼は私をチラリと見た気がした。何を思って最期を迎えたのだろうか。彼は後悔したのだろうか。
大空のマーレリングだけが、音を立てて地面に落ちた。