永遠を君に誓ったのに

*雲雀(+10)side*

行かせたくなかった。離したくなかった。それでも君は僕の手をすり抜けて、行ってしまった。

花莉と出会って10年という長い月日が経った。この10年間、一度だって彼女を離すことはなかった。どんなことがあっても、10年前から僕の気持ちは変わらない。

この数ヶ月で、ボンゴレは壊滅状態に追い込まれた。ついに本部すらも奴の手に落ちた。アルコバレーノも殆どが死んで、おしゃぶりを奪われた。ボンゴレ側の人間もどんどん狩られていった。弱い奴は死ぬ。そういう理だ。だけど、彼女は酷く心を痛めていた。白蘭が彼女を欲していたのを彼女自身もわかっていた。

だから彼女は決意した。これ以上被害が増えないように、自らを犠牲にすることを。馬鹿な考えだ。彼女が捕まったところで狩りは終わらない。それでも、最小限の被害になるように日本から出た。全ての矛先が自分に向くようにわざと堂々とイタリアへ行ったんだ。

ボンゴレ側の全ての計画を知るのは、僕と沢田綱吉と向こうの彼だけ。彼女にはもちろん知らせていない。だけど彼女は全てわかっていた。わかっていたからこそ、日本へ出たんだ。星空の娘として覚醒した彼女は、稀に未来を視ることができた。未来を視た上で、この選択をした。彼女のことだからこの方法が最善なのだろう。

だけど、僕の腹の虫は収まらない。勝手に決めて勝手に僕の手をすり抜けて、勝手に他の男の元へ行ったのだから。この10年でしっかり調教したつもりだったが甘かったらしい。帰ってきたらタダじゃおかない。潰れるまで抱きしめて、とろとろになるまで口付けをして、ぐちゃぐちゃになるまで抱き潰す。そう決めた。

「だから、早く帰っておいで。花莉。」

薬指のシルバーリングに唇を落とす。彼女との約束の証。きっと、10年前の君はこんなことになるなんて、夢にも思わないんだろうね。